ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.15(2010/08/21〜22) E
【8月22日(日)、ヒルクライム日和】
こちらは、8月22日(日)の観光センター前駐車場。
8月28日(土)〜29日(日)に開催される自転車のヒルクライムレース、第25回全日本マウンテンサイクリングin乗鞍まであと一週間となり、今日も駐車場のあちこちで出発の準備風景が見られます。
出場する選手はもちろん、ヒルクライムの中でもノリクラは有名であることもあって、一度は走ってみたいという方も多いようです。
今日は早朝から雲ひとつない快晴が続きます。全日本マウンテンサイクリングin乗鞍のスタートはこちらの観光センター前から。そして、ゴールは遠くに望むノリクラの峰々にある長野県と岐阜県の県境で、標高差約1200m 距離20.5kmのロングコースです。
ゴール地点の県境の標高は2720mで、国内自動車道の最高標高地点でもあります。そのため、空気の薄さ(大気圧)は平地の3分の2程度しかなく、勾配以上の過酷さがあります。
県道乗鞍岳線(通称:エコーライン)は、景色の変化に富んでいて、ご覧のように所々で山頂付近を眺めることができます。ヒルクライムの最中にゴール地点が確認できると、それだけモチベーションを保つことができます。
ばっちり晴れ上がった紺碧の青空に浮かぶノリクラは綺麗なハイマツのベールを身にまとい、コース沿道も緑の回廊に包まれ、これ以上の光景はなかなかお目にかかることはできません。
そして、こちらは位ヶ原山荘。
観光センターから約15kmの地点にあり、この先は森林限界を超えて空気の薄さがのしかかって来ます。
三本滝ゲートを過ぎると畳平までは休憩する場所はなく、唯一、休憩できる場所がこの位ヶ原山荘となります。そのため、自転車の方だけでなく、登山の方もここに立ち寄るケースが多いようです。
山荘前にはヒルクライムの方々が必ず立ち寄るスポットがあります。
山荘でも利用している湧き水...その冷たさに頭からクールダウンされる方もいらっしゃるほど...
今日は夕方までヒルクライムの方々の姿が絶えない状態が続きます。年に一度はノリクラでのヒルクライムにという方も多く、大会に出場される方がトレーニングに訪れるケースばかりでなく、ノリクラでのヒルクライムそのものを楽しもうという方も増えてきているようです。
この日の位ヶ原山荘の気温は20℃。この時期としては比較的高めの気温です。それでもしばらく休憩していると半袖では寒さを感じさせるようになってきます。
位ヶ原山荘での小休憩を終えて、ヒルクライムはまだまだ続きます。
森林限界を超えた位ヶ原では、高山植物の見頃の時期を迎え、そんな中をヒルクライマーが駆け抜けて行きます。
位ヶ原のお花畑 |
こちらは位ヶ原のお花畑。先週まで積雪が残っていましたが、ご覧のように完全に雪解けが終わりました。
ミヤマキンバイ | チングルマ |
その雪解けを待っていたかのように多くの高山植物が花を咲かせます。左のミヤマキンバイは比較的早期から花をつける高山植物ですので、ほぼ、全面に渡って満開を迎えています。畳平のお花畑では花期のピークは7月上旬で、一ヶ月以上の開きがあります。
そして、先週まで積雪のあった箇所でも、右の画像のとおり、チングルマが咲き始めています。雪解けとともに瞬時に反応して花を咲かせる高山植物の生命力は強いものを感じます。
ヒルクライムの帰りに立ち寄られたこちらの方...
ハンドブックを片手に一つ一つ高山植物の写真を撮ります。
「高山植物はまだ初心者なので...」と、おっしゃりながら、ヒルクライムと同様に、ノリクラでの新たな楽しみ方の一ページを追加されて行きます。
高山植物のガイドブックは、大半の場合、花期の状態しか掲載されていませんが、足しげく通うと、その前後の推移も楽しむことができます。特にヒルクライムの場合は、シャトルバスなどを利用するときと異なり、自分の好きなスポットに足をとめて観察することができ、一石二鳥といえるでしょう。
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ヒルクライムと登山、そして、ヒルクライムとスキーなど、さまざまな組み合わせで、それぞれのノリクラを楽しんでいらっしゃる様子が今日もあちこちで見られました。
【昨年の今ごろは?】
お盆が過ぎて少しばかり秋の気配を感じさせる週末となってきました。
22日(土)は早朝の雨が止んで青空が浮かぶようになります。その青空に鰯雲が流れてそれだけでも秋の気配を思わせる状態ですが、ひんやりとした空気が強い日差しをかき消して夏の暑さを感じさせないほど。その後、雲は完全になくなり、まさに秋の澄んだ青空が一面に広がり、思わず「秋ですね〜」という言葉が口を突いて出てくるほどです。
翌日の23日(日)はやや雲の多い朝を迎えますが、午後からは昨日同様の秋の青空となり、ひんやりとした空気も相まって、透明感溢れるノリクラの光景にヒルクライムの帰りは後ろ髪引かれる思いで下山するものでした。
<編集後記>
当WebSiteをご覧になる方々はおそらくノリクラが好きである方が大半だと推測しております。
ノリクラにお越しになる目的はスキー・ボードであったり、ヒルクライムであったり、また、登山であったりと、人それぞれだと思います。そして、その魅力を伝えて行くことも大事なことかと考えております。
夏スキー・ボードを通じてノリクラに通い始め、少しずつノリクラの環境に興味を持ち始めるケースも多いかと思います。
前回のノリクラ雪渓カレンダーで雷鳥の画像を掲載したこともあって、今回は雷鳥について問いかけてくださる方が何人かいらっしゃいました。「ノリクラに来てまだ雷鳥を見たことがないんですよ...」と、おっしゃる方もいらっしゃいます。
足しげく通っていれば、おそらく何かの機会に雷鳥なりオコジョなりに偶然めぐり合えるはずです。また、すぐ近くにいるにもかかわらず、気がつかづに通り過ぎているだけで、何度も通ううちに目が慣れてきて発見できる確立が高くなることもあります。
同じエリアを何度も通えば、季節や状況の変化が自然に感じ取れるようになってくると思っています。
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