ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.5(2013/06/08〜09) D

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(Update:2013/06/13)

  

【稜線へ】

それでは肩の小屋から稜線に向けて出発します。

 

ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 山頂版(別ウインドウ)

肩の小屋より稜線方面の概要・滑走箇所は、ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 山頂版 をご覧ください。

【剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳方面の稜線積雪状況−大雪渓方面から稜線への登行ルートについて】

6月9日(日)の稜線付近の様子

赤枠拡大

@ 2013/06/09 10:20
登るルートは青線か黄線(登山道)でお願いいたします
ハイマツ岩場への進入はご遠慮ください
(高山植物保護と雷鳥保護のため)

@ 2013/06/09 13:10
赤枠部分 −大雪渓上端部分のクラック
青線のように迂回して大雪渓へ滑走するようご注意ください

▼ @ 剣ヶ峰直下からの滑走ラインは、一部でバーンが途切れていて滑走不能です。
A 剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線からの滑走は、そのまま県道乗鞍岳線へストレートに滑り降りる分には問題ありません。途中で大雪渓方面へ滑り降りることは、雪解けによりできなくなりました。
また、AとBの間の稜線上は雪がありませんので、Bの稜線からやって来た場合は、一旦、シール・スノーシュー・アイゼンをはずす必要があります。
B 蚕玉岳〜朝日岳稜線からの滑走は、ご覧の通り、一部で岩がかなり出てきました。昨日よりさらに雪解けが進んで、「B」の下の岩場の左側(上から見て右側)にも岩場が出始めました。そのため、稜線からの滑走はできなくなり、青線の通り、朝日岳山頂からの滑り出しとなります。
C 大雪渓上端部分のクラックが大きくなっています(赤枠部分)。赤枠部分は上部からは見えにくく、無意識に赤枠部分へ進入してしまいます。そのため、上から見て左側のハイマツ帯からできるだけ離れて、赤枠部分を大きく迂回しながら大雪渓に進入するようお願いいたします。

▼ 大雪渓からのルートは青線になります。それ以外はありません。ハイマツや岩場への侵入はご遠慮ください。
肩の小屋方面からの場合は、黄線の登山道となります。登山道の積雪は、肩の小屋から黄色の矢印の先端付近までは積雪がなくなりました。それより先のつづら折れ区間は一部で登山道が見えていますが、アイゼンが必要な状況です。
一人でも取り付きやすいルートを登ると、それに続くほかの方も同じルートを登ることになり、積雪のない地面を硬いブーツ底で何度も踏みつけられると、高山植物の植生に影響を与え、また、繁殖期を迎えた雷鳥への影響も懸念されます。
一人一人の行動が大きく影響を与えますので、ぜひとも、ご協力ください。

 

肩の小屋〜山頂の登山道入口 岩陰に昨日の降雪が残る

こちらが肩の小屋から山頂方面に向かう登山道の入口部分。この先、稜線が見えるあたりまではほとんど雪解けが終わっています。そして、昨日(6月7日(金))の降雪が岩の陰に残っています。しかし、この雪も午後にはほとんど溶けてしまいました。

 

登山道の雪解けは昨年・例年より2週間早い

この先、稜線が見える箇所まで積雪は完全になくなりました。昨年より2週間以上早く、例年より2週間早い状況です。

右の画像の登山道の先に積雪が見られますが、下の画像(↓)の黄色線の矢印先端の部分に相当します。

 

6月8日(土)稜線付近

登山道の積雪は黄色矢印先端までありません

こちらは取材一日目の6月8日(土)の山頂付近の様子。先ほどの登山道は黄色の線で、肩の小屋方面から矢印の先端部分までは、先ほど申し上げたとおり、積雪は完全になくなりました。

 

摩利支天岳 −昨年より2週間早い雪解け

稜線に向けてしばらく登ると眼下には摩利支天岳を望むことができます。昨年より2週間早い雪解けで、例年と比べても2週間早い状態です。

 

【稜線 - 朝日岳山頂・濃霧と雷鳥】

こちらは蚕玉岳(こだまだけ)〜朝日岳の稜線。画像の左側が蚕玉岳山頂(標高2979メートル)に続き、画像右側が朝日岳山頂(標高2975メートル)に続いています。

ご覧のように岩の頭がかなり広範囲に見られるようになって来ました。それでも雪解けは少し遅くなって、先週は昨年より2〜3週間早い雪解け、例年より2週間早い状態でしたが、今週は昨年より2週間早く、例年より1〜2週間早い状況となっています。

 

大雪渓方面への滑走エリア−例年6月中下旬まで滑走可能 蚕玉岳方面の尾根−昨年より2〜3週間早い雪解け

左の画像は大雪渓方面へ滑り込む箇所。今後、雪解けが進み、大雪渓上端に接続する部分に岩場が出てバーンが途切れてくると、滑走できなくなります(途切れる箇所は画像の左下付近です)。例年、6月中旬〜下旬まで滑走可能です。

右の画像の蚕玉岳方面の尾根、地面の露出部分は先週よりもさらに拡大しています。昨年より2〜3週間早い雪解けです。

 

雪解けで稜線からの滑走は困難
朝日岳直下のバーンは問題ありません(画像の左側)

沢筋中央に伸びている岩場が大きくなってきて、稜線からの滑走はできなくなってきました。ただ、朝日岳直下からのバーンは問題なく滑走できます。朝日岳直下からのバーンについては、このコーナーの終りでもう一度お伝えします。

 

稜線直下はトレースがあるものの、下りはアイゼンが必要

先ほどの登山道からこちらの雪面を斜め左へトラバース気味に登って行きます。ご覧のようにトレースができていて、登りは問題ないと思いますが、やはり下りはバランスを崩したり転倒する登山者もかなり見受けられました。

そのため、アイゼンを装着して下山するようにお願いいたします。

 

岩場の中から登山道の一部が見られる

先ほどの沢筋に伸びる岩場ですが、登山道がつづら折れしている部分で、岩場の中に登山道の姿が見られるようになって来ました。ただ、この付近の積雪が完全になくなるのは、例年7月に入ってからで、しばらくはアイゼンが必要な状況が続くと考えられます。

 

昨年の蚕玉岳〜朝日岳稜線
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2012/06/09〜10) C
先週の蚕玉岳〜朝日岳稜線
ノリクラ 雪渓カレンダー 正式版 Vol.4(2013/06/01〜02) D
今週の蚕玉岳〜朝日岳稜線
昨年より2週間早い雪解け

こちらが稜線部分。手前が朝日岳方面で、画像に写るなだらかなピークが蚕玉岳、それに続く奥のピークが主峰の剣ヶ峰です。昨年より2週間早い雪解けで、例年より1〜2週間前後早い状態です。

先週は昨年より3週間早く、例年より2週間早い状況でしたから、この付近でも先週と比べて雪解けスピードが遅くなっています。

 

昨年の権現ヶ池
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2012/06/09〜10) C
今週の権現ヶ池
昨年より1〜2週間早い雪解け、例年より1週間早い雪解け
昨年の朝日岳
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2012/06/09〜10) C
今週の朝日岳
昨年よりやや早い雪解け、例年より1週間早い雪解け

御岳の二ノ池に次いで国内二番目の標高に位置する権現ヶ池(ごんげんがいけ、標高2845m)は、昨年より1〜2週間早い雪解けで、例年より1週間早い状態です。朝日岳は昨年よりやや早い雪解けで、例年より1週間早い状態です。こちらでも雪解けスピードが遅くなっています。

朝日岳山頂 朝日岳山頂直下のバーン

さて、稜線から滑走できなくなったと申し上げましたが、すぐ隣の朝日岳直下のバーンはご覧のようにまだまだ十分な広さがあります。ここでのんびりと休憩されるスキーヤー・ボーダーの姿もあります。

 

春スキーらしい柔らかな雪質

6月7日(金)の降雪が3〜5センチ程度残っています。この時期の降雪は湿雪でベタ付く状況ですが、今回の新雪はそのような感触はなく、春スキーらしい柔らかな滑走しやすい雪質でした。

多くのスキーヤーが自由自在にターンを繰り返す様子は、周囲の登山者からはうらやましがられるほどでした。

 

6月9日(日)の稜線付近の様子

赤枠拡大

@ 2013/06/09 10:20
滑走は朝日岳直下から大雪渓エリアへ

@ 2013/06/09 13:10
赤枠部分 −大雪渓上端部分のクラック
青線のように迂回して大雪渓へ滑走するようご注意ください

ちょうど滑走しているラインは、こちらの画像の青線です。朝日岳直下から滑り出して、矢印先端の大雪渓エリアへと向かいます。そのまままっすぐ滑り降りると、赤枠部分へ進入しますが、右の画像のように大きなクレパスが待ち構えています。

特に上から見た場合、クレパスの存在がわかりにくく、特に天候の悪い時は注意が必要です。そのため、赤枠部分を迂回するように滑走し、また、この付近に達したら、一度止まって状況確認し、クレパスのある岩場付近に近寄らないようご注意ください。

クレパスは幅1メートル程度、深さは深いところで3メートル以上にも達しています。転落には十分注意してください。

 

朝日岳山頂、気温8℃

時刻はちょうど正午。気温は8℃と暑くもなく寒くもない程よい気候が続きます。

 

ゆっくりした時の流れ.. 円形の山並みと位ヶ原の唐草模様

お昼休みには程よいコンディション。ゆっくりとした時間が流れ、遠景の山並みと残雪とハイマツ帯の織り成す唐草模様が広がる位ヶ原は、ほかではなかなか体験できない光景でしょう。

午後から濃霧 ライチョウの姿(オス)

こちらは取材一日目の6月8日(土)の様子ですが、この日は午後から濃霧に見舞われてしまいました。天候が悪くなると周囲の山々は霧に飲み込まれてしまいますが、それと裏腹にライチョウは活発に姿をあらわすようになります。

こちらはオスのライチョウ。縄張りに侵入者がいないかどうか岩の高いところから常に監視します。

 

岩場の影にはメスが... メスを守るように周辺警護

良く見るとオスが立つ岩の陰にはメスのライチョウが...(左画像)
ライチョウは毎年、ほぼ同じ場所で同じペアを組むことが多いとのこと。これから産卵・抱卵期を迎えるメスは餌をついばむのに一生懸命。周囲の様子などにはわき目も降らずに高山植物の芽を追って移動するメスに対して、オスは周辺の警戒に必死です。

7月になれば、ヒヨコの何羽も引き連れて餌を探し回る様子が見られるようになるはずです。 Next


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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