ノリクラ 雪渓カレンダー

プレリリース版 Vol.2(2009/04/04〜05) D

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(Update:2008/04/09)

 

【屋根板、富士見沢 - 雷鳥】

それではここからは屋根板の様子をお伝えします。

やや締まりかけているものの、4月しては好条件

昨晩は思ったほどの降雪はなく、雪面のコンディションはやや締まりかけたもの。それでも、テールからにスプレーを排出しながらターンできる状態は4月としては好条件といえます。

 

登っては滑り、滑っては登る...

条件のよさそうな箇所を見つけては、登っては滑り、滑っては登る...それが楽しい滑り方かもしれません。

 

こちらは富士見沢。遠くのダケカンバに見えるものは...

 

雷鳥 慎重を期せば比較的近くで観察することができます

二羽の雷鳥。真っ白の冬毛に包まれ、夏場のまだら模様とは全く異なる姿を見せています。こちらの二羽は両方とも雄で、カエルの鳴き声のような雄特有の鳴き声で移動して行きます。

日本の雷鳥は捕獲の対象とならなかったため、人を恐れることが少なく、ゆっくり驚かさないように近寄れば、ご覧のように間近でその様子を観察することができます。それでも、こちらの動きを警戒していることは間違いありませんので、必要以上に接近してはなりません。

 

群れで行動 ジャンプしながらダケカンバの芽を...

冬の間は群れになって行動し、春とともに標高の高いところに移動を始めます。この日は5羽の群れが一緒になって動き回り、ずんぐりとした体をジャンプさせてダケカンバの芽をついばむ様子はユーモラスなものです。

 

全国的に減少の雷鳥もノリクラでは増加へ

昨年の雷鳥生息調査では約170羽がノリクラに生息しているとされ、5年前と比べて4割増加しています。(信州大学 中村教授(鳥類生態学)調査)。全国的には減少傾向が見られる中、ノリクラだけが増加している傾向を見せ、マイカー規制による入山者数の減少や、他の高山で見られるニホンジカやニホンザルの高山帯への侵入がない点が起因していると考えられています。

雷鳥にとって住み易い環境をこれからも守って行く必要があります。

 

 

【快晴の位ヶ原へ】

天候の好転はドラマチックに

午前中に広がっていた雲が午後になって一気に抜け始めます。天候が悪化するときも好転するときも急激な変化を見せるところは、標高の高いエリアではよく見られます。急激な悪化には慎重を期す必要がありますが、今回のように好転する場合はドラマティックともいえる展開を楽しませてくれるものです。

 

抜けるような青空と激しく動く雲のグラデーション

青空に描かれる雲の筆遣いもさることながら、生き物のように動き行く雲の影が銀幕の大雪渓に光と影のグラデーションを映し行くさまは、真っ白な雪原の広がるこの時期しか見られないもの。

 

ダケカンバの枝先が霧氷に輝く

終日氷点下の気温の中、霧氷に凍りつくダケカンバの枝先が輝く太陽に煌きはじめる様子も見逃してはいけません。

 

【雪渓下部】

ここからは雪渓下部の様子をお伝えします。

 

昨年の大雪渓入口
2008ノリクラ 雪渓カレンダー  プレリリース版
Vol.3(2008/04/05〜06) C
先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版
Vol.1(2009/03/28〜29) B

今回の大雪渓入口 − 先週とほとんど変わらず

こちらは大雪渓入口付近。左上が昨年同時期、右上が先週、そして、下中央が今回の画像です。先週からほとんど積雪量が変わっていないことが分かります。そして、昨年よりも30〜50センチ程度は積雪量が多いことが分かります。

 

トイレ付近 − 奥の建物は避難小屋(夏季のみ利用可)

そして、こちらはトイレ付近。建物が2つありますが、昨年、避難小屋が建設されました(画像奥)。ただ、夏季しか開放されていないため、この時期は利用できません。風向きや建物周辺の吹き溜まり状況から、風除けとしては、従来どおり、トイレ南側付近が適しているように感じます。

そして、こちらは雪渓下部全景。

 

モーグルコースの岩付近 − 先週同様、完全に埋まっています

雪渓下部は肩の小屋方面に向かってしばらく中斜面が続き、その後はなだらかな斜面に変化して肩の小屋までつながります。この中斜面から緩斜面へ変化するあたりに、モーグルコースの岩があります。(夏スキーのシーズン、この中斜面ではいくつものモーグルのラインができることから、便宜上、呼称させていただいております)

先週から、岩の頭が完全に埋まり、今週も引き続きその姿が見えませんので、大雪渓入口付近と同様、積雪量は減少していないことが分かります。

 

<編集後記>

4月に入って最初のノリクラ雪渓カレンダープレリリース版をお届けいたしました。今週から大部分のリフトが営業終了し、ツアーコースへのアクセスに時間を要するようになり、天候もあまり芳しくなかったことから、お越しになる方が少ないのではと思いましたが、予想に反して多くの方にめぐり合うことができました。

乗鞍スカイラインでは例年通り、除雪が開始されました。国道からの分岐道路で昨年の半分程度の積雪量しかないとのことです。おそらく、4月下旬頃には終点の畳平まで達し、5月15日に開通することと思います。
ノリクラ雪渓カレンダープレリリース版が始まったばかりですが、乗鞍スカイラインの除雪・開通の話題が新聞紙面などに掲載されるようになって季節の変化が伝えられるようになると、冬の寒さから「早く春が来ないかな」と思う今までの気持ちから、まだまだ、冬の光景を味わっていたいという気持ちにさせられるものです。

そんな心の変化は無意識のうちに季節の移り変わりを敏感に感じ取っているのかもしれませんね。

 

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