ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.20(2012/09/22〜23) @

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(Update:2012/09/27)

 

9月も半ばを過ぎて、朝晩の冷え込みといい、照りつけるような日中の日差しなど、しっかりと秋らしい状況になってきました。

取材一日目の9月22日(土)は秋分の日。昼間と夜とがちょうど半分ずつなんですが、日の出がまたさらに遅くなり、6時を過ぎて観光センター前駐車場はようやく明るくなって来ました。早朝の気温は10℃とこの時期としては高めなんですが、残暑続きだったことを考えると結構冷え込んだ朝と言えるでしょう。鰯雲に青空が広がり、時間とともにしっかりとした天候となります。今日は終日ひんやりとした空気に包まれます。そして、時折差し込む日差しは、これまでのような強さはまったくなく柔らかなもので、空の高い秋というよりも、全体的に落ち着いた穏やかな天候でした。

取材二日目の9月23日(日)は、生憎の雨。それでもシャトルバスは長野県側・岐阜県側ともに通常通りのAダイヤ。観光センター前駐車場には人の気配がほとんどなくひっそりとして、シャトルバスも各便共に数名程度しか乗車しません。早朝の乗鞍高原では10℃と昨日と変わらない気温でしたが、畳平では1.5℃まで下がりました。しかし、上部エリアでも雨で紅葉直前の木々も霜枯れなどの影響を免れました。午後になって上部エリアの濃霧が抜けて大雪渓を見上げると、この天候でも滑走を続けるスキーヤーがいました。その後、天候はさらに回復し、夕方にはしっかりとした西日が綺麗に差し込んで、今日一日が終わって行きます。

今回も 紅葉情報(5ページ目) をお伝えします。先週と同様に、冷え込みがなかったことから、目立った進捗はありません。それでも、大雪渓・位ヶ原などの上部エリアでは色付いた木々が増えてきました。例年よりも1週間ほど遅い状況です。


■ご注意■

今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。

 

◎ 今回の目次

Page-1 : 【9月22日(土)、観光センター前駐車場】       【大雪渓までの沿道の風景 T】
Page-2 : 【大雪渓までの沿道の風景 U】       【大雪渓までの沿道の風景 V】
Page-3 : 【大雪渓に到着】       【雪渓下部】
Page-4 : 【雪渓上部 − モーグルコース】
Page-5 : 【紅葉情報−大雪渓付近(標高2600〜2700m付近)】       【紅葉情報−宝徳霊神〜位ヶ原付近(標高2500m付近) T】
Page-6 : 【紅葉情報−宝徳霊神〜位ヶ原付近(標高2500m付近) U】       【紅葉情報 − 位ヶ原山荘付近(標高2350m付近)】
Page-7 : 【紅葉情報−冷泉小屋〜魔利支天付近(標高2220〜2000m付近)】       【昨年の今ごろは?】       <編集後記「綺麗な紅葉になる気象条件は?...」>
 
●参考資料●
(周辺地図) − ノリクラ ガイドマップ (春〜夏スキー 大雪渓・山頂版)      ノリクラ ガイドマップ (県道乗鞍岳線カーブ番号版)
(シャトルバス) − 2012シーズン版 乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報
(紅葉の概要) − 乗鞍紅葉情報(紅葉の歩き方)
(紅葉ビューポイント・地図) − ノリクラガイドマップ 紅葉 上部エリア版(大雪渓〜摩利支天)   ノリクラガイドマップ 紅葉 下部エリア版(三本滝〜乗鞍高原・一の瀬エリア)

 

【9月22日(土)、観光センター前駐車場】

観光センター前駐車場

こちらは早朝5時30分の観光センター前駐車場。

 

秋分の日の二連休

今日は秋分の日。明日の日曜日とあわせて二連休となるため、観光センター前駐車場には87台のマイカーがお越しになっています。まずまずの人出といってよいでしょう。

 

まだ薄暗い夜明け前 − 気温10℃、ようやく本来の冷え込みへ

今日の日の出は5時35分。夜明け前ということもあり、周囲はまだ薄暗い状態。曇っているように見られますが、ノリクラの峰々はくっきりと確認できます。そして、夜明け前からタクシーの方々が続々とやってきます。

6時時点の気温は10℃、残暑の厳しい状態が続いていましたが彼岸に入り、ようやく本来の気候に戻りつつあるように感じられます。この気温でも例年から比べたら高いほうでしょう。それでも、久々に冷え込んだこともあって、観光センター駐車場ではマイカーから外に出て準備をされようとする方の中には、あまりの寒さに一枚余分に着込む様子もありました。

 

シャトルバス乗車券発売所

画像の関係からこちらは7時のシャトルバスに乗車される方々がチケットを求めるところですが、始発のシャトルバスのチケットを買い求める様子も同様で、定刻が近づくとともに人々が集まってきます。

 

畳平 − 気温3℃

そのシャトルバス乗車券発売所のカウンターには、6時時点の畳平の天候がホワイトボードに掲示されます。今日の畳平は曇り、気温3℃とのこと。9月20日前後は、例年、大雪渓・位ヶ原エリアの紅葉が進んで行く重要な時期で、このタイミングの気温の変動が紅葉の状況に大きな影響を与えます。

 

翌日の畳平は1.5℃まで冷え込む
=でも霜枯れする氷点下は避けたい=

こちらは翌日の9月23日(日)の畳平の早朝の天気・気温。気温は1.5℃と今日よりもさらに冷え込み、氷点下まで下がろうとする勢いです。

一般的に紅葉が進むにはある程度の冷え込みが必要といわれています。ただ、最低気温が氷点下となると霜が降りるため、大雪渓・位ヶ原エリアの木々は霜枯れしてしまいます。もちろん風向きや地形などの影響で霜枯れを免れるものも部分的にはありますが、昨年は残暑が厳しくて葉の状態が元々よくなかったところに、急激な気温低下による霜が発生して、壊滅的な状態となりました。

そのため、紅葉にとっては冷え込みは歓迎するものの、氷点下となるような極端な冷え込みは避けたいところなのです。

 

シラカバの木々の色づき シャトルバス乗り場

こちらはシャトルバス専用乗り場。周辺のシラカバの木々は部分的に黄色に色づく様子が見られます。しかし、先週までの状況とは大きな違いは見られません。標高1500メートル付近の乗鞍高原の紅葉が見頃を迎えるのは10月中旬ですから、まだ1ヶ月近く先のことです。それまではご覧の状況が続きます。ただ、シラカバの場合はどんどん歯抜けして行きますから、見頃を迎えたときにはすでに丸裸になっているものも見られるかもしれません。

 

シャトルバス始発便が到着

そして、定刻どおりシャトルバス始発便が到着し、いつものように登山の方々が乗り込んで行きます。紅葉が遅いため、大きな三脚を携えたカメラマンの姿はあまり多くありませんでした。

 

今日の始発便は1台で運行。いつものように始発便が出発して行きます。

 

タクシー乗り場 いつもの朝のミーティング

こちらはタクシー乗り場。いつものように常連の運転手の方々集まり、朝のミーティングが始まります。

岩場のナナカマドが紅葉のバロメーターなんです! バロメーターなんて横文字つかっちゃって〜

「位ヶ原山荘から見える岩場のナナカマドがようやく赤くなってきましたよ。」と、おっしゃるところに「そんな細かいこと言ったってしょうがないじゃないの!」と...それに対して「いや〜、それが一つのバロメーターになるんですよ。」...

確かにあるスポットを毎年観測していれば状況把握の参考となります。それにしても「位ヶ原山荘からみえる岩場のナナカマド」と聞いて、どこの場所なのかすぐにわかるところは、常連のドライバーならではでしょう。

「バロメーターなんて横文字つかっちゃって〜。ノリクラでタクシー使って紅葉見物するって言うのはステイタスっていうんだよ... わかる? バロメーターにステイタス...横文字だって自由自在だよ〜」

...毎朝のミーティングは大体こんな感じです...(笑)

 

昼と夜とが同じ長さの一日 − ようやく日が差し込む

今日は昼間の時間と夜中の時間が同じ長さなる一日。観光センター前駐車場には7時前になってようやく朝日が差し始め、上空の雲間からは青空が姿をあらわし始めました。日の出の遅くなった様子から、今までいかに昼間が長かったのかと改めて実感します。

そして、日が高くなってきても、今日は日差しの強さが感じられません。夏場の力強い太陽のエネルギーが弱くなって行くのも同時に実感するものです。

 

【大雪渓までの沿道の風景 T】

鈴蘭バス停前(カエデの紅葉) 善五郎の滝 駐車場

それでは大雪渓に向かう沿道の様子をお伝えします。

 

そろそろ、山野草の花期が終りを見せる時期になってきました。

 

ナギナタコウジュ 薙刀のように花は片方にしか付かない

それでも、良く観察してみると、この時期になってようやく花をつける山野草もあります。こちらはナギナタコウジュ(薙刀香薷、シソ科ナギナタコウジュ属)。片刃の薙刀のように一方向だけ花をつけていて、ちょうどのその形状も薙刀の刃に良く似ているところから命名されています。また、強い芳香を持ち、生薬の香薷に似ているというところも命名の由来です。

多くの多年草で、地上部分は冬になると枯れてしまいますが地下部分が残り、翌年も同じ個体から発芽する多年草です。ナギナタコウジュは地上部分も地下部分も越冬できない一年草。そのため、開花後にできる種子が周囲に散乱して、翌年その種子から開花します。冬の長いノリクラでは毎年そのサイクルを繰り返すことは大変なことでしょう。なお、花期は9月から10月とされていますので、ノリクラという厳しい環境ではありますが、こちらの個体の花期が特別遅いということはないようです。

 

ススキ 柔らかな日差しに輝くススキの穂

そして、秋が深まってゆくとススキが他の植物にも増して目立つ存在になってきます。まだ、穂が開ききっていませんので、そんな変化がこれからも楽しめます。輝くススキの穂を撮影するのはなかなか難しいものですが、紅葉が進んでも秋の題目としてススキは重要な存在でしょう...

 

ノリクラを真正面に眺めながら進む

さて、善五郎の滝駐車場から休暇村に向かう道中はご覧のようにノリクラの峰々を真正面に眺めながらの車窓を楽しめます。

 

ミズナラ

こちらは沿道のミズナラの木。葉が少し黄色く変化しています。週を追うごとにその色合いが深まって行く様子が見られます。前のコーナーでもお伝えしたとおり、乗鞍高原の紅葉は10月中旬ですから、ミズナラが黄色やオレンジに輝くのはもう少し先のことです。

 

実り始めたミズナラ(二週間前)
ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.18(2012/09/08〜09) @
ミズナラの実がありません

 そして、二週間前にはミズナラの実(どんぐり)ができ始めた様子をお伝えしました。しかし、今週のミズナラを見ると実がまったくありません...

 

落下したミズラナの実 − まさに「どんぐりコロコロ...」

ミズナラの木の真下を見るとご覧のようにいたるところに実が落ちています。そこにはまさに絵に書いたような形のどんぐりが落ちています。今年もどんぐりが不作であるようです。ツキノワグマの冬眠には栄養価の高いどんぐりは必需品と言われていて、どんぐりが不作であると、人里に出没する頻度も増えてきて、また、大雪渓・位ヶ原でもクマの出没情報が相次いでいます。今後も懸念が続きます... Next


■ご注意■

今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。

 

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