ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.21(2015/09/26〜27) F
【紅葉情報−位ヶ原山荘付近(標高2350m付近)】
★ピーク目前、見頃です(例年の見頃:9月下旬〜10月上旬)★
昨年の位ヶ原山荘付近 2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.21(2014/09/27〜28) F ↓ |
先週の位ヶ原山荘付近 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.20(2015/09/19〜20) E ↓ |
今週の位ヶ原山荘付近 もう一段回こくなってもよさそう |
標高2350メートルの位ヶ原山荘付近は、ダケカンバとウラジロナナカマドの二種類の構成となりますが、ダケカンバの比率の方が多くなり、黄色から褐色の屏風にウラジロナナカマドの赤が点在する構成となります。
先週と比べて、ダケカンバの黄色が濃くなってきました。しかし、昨年と比べるともう一段回濃くなってもよさそうです。
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昨年の位ヶ原山荘付近 2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.21(2014/09/27〜28) F |
今週の位ヶ原山荘付近 もう一段色濃くなってもよい、落葉はまだない |
前のコーナーの宝徳霊神バス停付近の様子はこの画像よりも左上に当たり、こちらのほうがやや標高が低いところに位置しています。宝徳霊神バス停付近ではダケカンバの落葉がやや目立っていましたが、こちらではそのような状況はまだ見られません。また、色合いに関しても、もう一段回濃くなってもよい状態です。
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昨年の位ヶ原山荘〜冷泉小屋 2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.21(2014/09/27〜28) F |
今週の位ヶ原山荘〜冷泉小屋 昨年よりやや遅れ気味 |
位ヶ原山荘〜冷泉小屋間もダケカンバはまだ緑の部分も多く、昨年よりもやや遅れ気味です。よほどの低温や風雨で葉へのダメージがなければ、今後、左の昨年画像のようにもう少し色づくはずです。
【紅葉情報−冷泉小屋〜摩利支天付近(標高2220〜2000m付近)】
★ピークを迎えました(例年の見頃:9月下旬〜10月上旬)★
2012年の冷泉 2012ノリクラ 雪渓カレンダーVol.21(2012/09/29〜30) F |
2013年の冷泉 ノリクラ 雪渓カレンダーVol.21(2013/09/28〜29) F |
2014年の冷泉 2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.21(2014/09/27〜28) F |
今週の冷泉 昨年よりやや遅く、例年並み |
こちらは標高2230メートルの冷泉。先週の段階ではやや早めの色合いでしたが、今週は昨年よりも色づきが遅く、例年並みの状況です。
冷泉小屋周辺 − 昨年よりやや遅く、例年並み |
冷泉小屋周辺も同様で、ウラジロナナカマドだけでなく、ダケカンバも色づきが昨年よりやや遅く、例年並みの状況です。
冷泉小屋〜魔利支天中間地点(28号カーブ) |
冷泉小屋と魔利支天バス停の中間付近にあり荒田沢橋(あれたざわばし)を少し下ったあたりの28号カーブ付近。
冷泉小屋〜魔利支天中間地点(28号カーブ)−
ピークが続く 2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.21(2014/09/27〜28) F |
こちらは昨年同時期の画像ですが、今週は昨年画像とほぼ同じ状態です。28号カーブから下がって直線区間の手前まではご覧のような紅葉の回廊が続きます。
【紅葉情報 − 県道乗鞍岳線、紅葉の回廊について】
道路間際まで紅葉が迫ってくる(摩利支天〜荒田沢橋区間) |
県道乗鞍岳線の紅葉はダケカンバの黄色とウラジロナナカマドの赤が特徴ですが、道路間際まで錦の回廊が迫ってくるところに人気があります。
さて、ダケカンバはハイマツ帯や針葉樹の中にパッチワークのように点在・分布しますが、ウラジロナナカマドはどのように分布しているのでしょうか?
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冷泉小屋付近 − 沿道沿いにウラジロナナカマド | 見事な紅葉の回廊 | |
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28号カーブ〜直線部分 − 沿道沿いにウラジロナナカマド | 見事な紅葉の回廊 | |
=どちらも針葉樹林帯の内部にはウラジロナナカマドは見られない= |
上段は冷泉小屋付近の画像で、下段は前述の28号カーブから直線区間までの画像です。どちらもウラジロナナカマドは沿道を縁どるように分布していて、これが紅葉の回廊を作り上げています。しかし、道路から奥の針葉樹林帯の内部にはほとんど見られません。
これは上部エリアのウラジロナナカマドでも同様です。左は鶴ヶ沢、右は大雪渓手前の様子で、どちらも沢筋(ハイマツ脇)に沿って分布しています。ダケカンバのように背が高くないため、日当たりの良い道路沿い・沢筋に集中します。
ですから、先ほどの冷泉小屋や28号カーブ付近の画像のようなウラジロナナカマドは、県道乗鞍岳線が開通していなかったら、おそらく存在していなかったものと考えられます。また、紅葉の人気度は、岐阜県側の乗鞍スカイラインよりも長野県側の県道乗鞍岳線が高いようですが、乗鞍スカイラインにもダケカンバ・ウラジロナナカマドの紅葉は存在するものの、沿道間近に密集していないだけのこと...乗鞍スカイラインは県道乗鞍岳線よりも法面傾斜が切り立っていて擁壁が施されている箇所が多く、ウラジロナナカマドが自生・密集しにくいことが要因のように考えられます。
【紅葉情報−摩利支天〜三本滝(標高2000〜1800m付近)】
★色付き始め〜見頃(例年の見頃:9月下旬〜10月上旬)★
摩利支天付近 − 色づきがはっきりと |
標高約2000メートルの摩利支天付近は、色づきがはっきりしてきました。
摩利支天付近 − 例年並みかやや早い |
ほぼ例年並みか、やや早めといったところです。
この付近は紅葉が始まったばかり |
左の擁壁の上にはウラジロナナカマドが密集しています。先週はほとんど色づいていませんでしたが、今週は紅葉が始まったことがはっきり分かる程度まで色づています。
三本滝上 | かもしかゲレンデ |
さらに下って、かもしかゲレンデや三本滝上は見頃に入り、ピークはもう少し先と考えられ、次週末はピークを迎えることと思います。
かもしかゲレンデから − カラマツの紅葉はまだこれから |
かもしかゲレンデから乗鞍高原・休暇村方面にはカラマツ林が広がります。部分的に黄色くなってきましたが、見頃は10月末です。
【昨年の今ごろは?】
一喜一憂した紅葉シーズンが本格的に始まりました。台風16号から変わった温帯低気圧による大雨・強風の影響も見られず、大雪渓から三本滝ゲートまで全エリアで紅葉を迎えました。この日を待ちわびていた方もたくさんいらっしゃったことともいます。
9月27日(土)は、天気予報に反してどんよりとした曇り空の朝を迎えます。気温は11℃とこの時期としては暖かい気候。今日はご来光バスが5台も運行され、乗鞍高原には低く垂れ込める雲がかかりますが、上部エリアは雲海となって広がり、見事なご来光を望むことが出来ました。先週の予測どおり、今週は見事な紅葉となり、大雪渓から三本滝ゲートまで全エリアで見頃・ピークを迎えました。沿道にはヒルクライマーはもちろんのこと、今日はカメラマンの三脚が林立し、紅葉散策の方々の姿があちこちに見られます。上部エリアの快晴は10時30分ごろには山麓から湧き上がる雲に覆われてしまい、見事な紅葉に日差しが届かなくなり、日が差すタイミングを気長に待つカメラマンの様子が見られました。しっかりとした色合いになっても落葉は少なく、今年は紅葉の当たり年を迎えました。また、乗鞍岳から南へ約25kmに位置する御岳山で11時53分に火山爆発がありました。乗鞍岳剣ヶ峰山頂付近からは御嶽山を真正面に望む位置にありますが、午後から濃霧に覆われて、御嶽山の様子を確認することはできませんでした。また、乗鞍においては火山噴火による影響は見られませんでした。
9月28日(日)は、雲ひとつない快晴が終日続きました。ご来光バス運行が昨日よりも多い6台も運行され、今シーズン最後のご来光を楽しもうとされた方がたくさんお越しになりました。真っ青な秋空にピークの輝きを見せた紅葉がくっきりと冴え渡り、これ以上の色彩はおそらく本日以外ではもう見られないのではと思うほどの紅葉日和。また、今日は山頂登山に向かう方も多く、午後になっても剣ヶ峰山頂を目指す方がたくさんいらっしゃいました。剣ヶ峰山頂からは昨日噴火した御嶽山の噴煙がしっかりと確認でき、高く登り立つ噴煙は周期的に激しく沸き立つタイミングもあって、予知できない噴火の恐ろしさを改めて感じさせるものでした。また、畳平付近で若干の灰が見られたようですが、乗鞍一帯では御岳噴火による影響は全く見られませんでした。
紅葉の状況は、先週の21日(日)の朝、畳平鶴ヶ池で初氷が観測されて、その冷え込みから大雪渓・位ヶ原の上部エリアでは霜枯れが散見される状況でしたが、霜枯れによる影響は少なく、大雪渓から三本滝ゲート付近まで全エリアで見頃・ピークとなりました。例年ならピークの色合いとなる時期には一部で落葉も始まって、ボリューム感が乏しくなることがありますが、今年は色合いもボリュームも共にすばらしく、当たり年であることは間違いありませんが、その中でもかなりグレードの高い紅葉が展開されました。
<編集後記>
クライマックスシーズンが到来...「晩秋は冬に向かって釣瓶落とし」
今年は例年よりも1週間程度紅葉が早く始まったため、来月上旬には上部エリアの紅葉が終わってしまう可能性がかなり高いと考えられます。今後は中腹エリアやそれより山麓の乗鞍高原へと紅葉が進んで行きます。また、上部エリアではこれから初雪・初冠雪が観測されるようになり、あっという間に冬モードへと移り変わって行きます。例年、大雪渓・位ヶ原の紅葉ピークから初雪までは1週間から2週間程度しかなく、秋の終わりには冬が早くも顔を出し始めます。
「秋の日は釣瓶落とし」という言葉は、秋の日没の速さをたとえたものですが、「晩秋は冬に向かって釣瓶落とし」といってもよいかもしれません。紅葉前線を急いで山麓に追いやるように上部から冬が迫ってきます。終わりに近づく秋を見落とすことなく楽しみたいものですね。
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