ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.7(2015/06/19〜20) D

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(Update:2015/06/28)

 

【乗鞍岳春山バス、大雪渓に到着】

天気予報とは裏腹な快晴

春山バス始発便が到着した8時過ぎの大雪渓の気温は10℃。この気温だと、肌寒さを感じる日がありますが、今日は日差しがあって、程よいコンディションです。不安定な天候との天気予報とは裏腹にきれいな青空が広がっています。

 

思わずケータイで写真を撮る 雪見客も手ぶら散策は危ないよ〜

青空をバックにしたノリクラは何度見ても感動するもの。思わず携帯をかざす様子も...そのボーダーの方からは、「雪見客の方も、手ぶらじゃなくてある程度の装備を持ってきたほうがいいと思います。」 観光客の方の中には、大雪渓周辺の散策にとどまらず、位ヶ原山荘まで車道を歩いて降りるケースもあって、最低でも飲料水と天候変化を念頭に置いたレインウェア程度は持参されることをお勧めします。

 

どこから登って行けばいいのかなぁ〜 初めてのノリクラ

山頂方面を眺めながら少しばかり不安げなこちらのお二人。「雪の上でも大丈夫でしょうか?」と、ノリクラは初めての模様。問題なのは朝日岳直下の積雪箇所ですが、こちらは踏み跡ができていますので、下山さえ注意すれば問題はないかと思います。ただし、大雪渓から肩の小屋までの登山道は全面積雪に覆われていて、しかも踏み跡がありませんので、むしろこちらのほうが心配かもしれません。

そんな状況に行くのをためらっていらっしゃいますが、今日は天候が不安定でこれから悪化する予報が出ています。できるだけ早めに行動を開始して、天候悪化と同時に引き返すことが、夏山では必要と考えられます。

 

いつものように出発風景

さて、大雪渓入口ではいつものように出発風景。もちろんこちらの常連も出発です。

 

「一応、今シーズンは今日で最後にしようと思っています。」

「一応、今シーズンは今日で最後にしようと思っています。」と、山頂方面を指差しながら出発です。

 

明日の乗鞍天空マラソン完走に向けて願掛け登山

さて、こちらの登山の方々。昨年も同じように剣ヶ峰への登山をされましたが、毎年この時期に決まってお越しになるのにはわけがあります。明日開催される乗鞍天空マラソンに出場するためにお越しになり、今日は大会完走に向けて願掛け登山です。メンバーの中には「マラソンよりも雪の中の剣ヶ峰登山のほうが圧倒的に楽しい!」と、おっしゃる方もあり、別の捉え方をすれば、ノリクラは登山もランニングも同じフィールドで楽しむことができる場所と言ってもよいでしょう。

 

【大雪渓下部 T】

ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。

 

昨年同時期の1週間後の大雪渓入口
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.8(2014/06/28〜29) A
先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.6(2015/06/13〜14) A
今週の大雪渓入口
昨年より1週間早い雪解け

入口の車道沿いの状況ですが、左上は昨年同時期の1週間後の画像で右上は先週の画像、下は今週の画像です。先週より50センチ程度減少し、昨年より1週間早い雪解け状況であることがわかります。

 

昨年同時期の1週間後の登山道入口
2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2014/06/28〜29) A
先週の登山道入口
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2015/06/13〜14) A
今週の登山道入口
昨年より1週間程度早い雪解け

大雪渓入口から北へ50メートルほどの所に肩の小屋への登山道入口があります。左上は昨年同時期の1週間後の画像で右上は先週の画像、下は今週の画像です。先週の段階では昨年より2週間早い雪解け状況でしたが、今週は少し雪解けが落ち着き、昨年より1週間程度早い雪解け状況になっています。

 

剣ヶ峰登山 − 誘導ロープにしたがって肩の小屋へ

さて、剣ヶ峰に向かう予定の先ほどのお二人。登山口から続く誘導ロープにしたがって肩の小屋へと登って行きます。

 

赤線:スキーヤーのみ  青線:一般の登山ルート 大雪渓〜肩の小屋登山道は雪の中
誘導ロープにしたがって

アイゼンやシールなどの登攀用具を完備した登山者やスキーヤーであれば、赤線のように直接登ることが可能で、今回も山スキーヤーの多くがこのルートで稜線方面へ登って行きました。そのため、初心者の方もそれが通常ルートだと勘違いすることもありますが、本来の登山道(夏道)は青線です。ただし、大雪渓から肩の小屋まで ほぼ全線にわたって積雪に覆われていますので、誘導ロープが敷設されています。

なお、大雪渓〜肩の小屋登山道は、ほとんど踏み跡がありませんので、登山経験が少なくノリクラは初めてという方は、積雪がなくなって登山道がしっかりわかるようになる 7月中下旬以降にされたほうがよいでしょう。

 

昨年のモーグルコースの岩
2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2014/06/20〜21) D
先週のモーグルコースの岩
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2015/06/13〜14) A
今週のモーグルコースの岩
昨年より2週間遅い雪解け−昨年より積雪が多いのはここだけ

岩場がゴツゴツとしている大雪渓も、厳冬期以降はすべてのものが雪に閉ざされてしまいます。春になって雪解けが進んで最初に姿をあらわすのが画像の中央に写るモーグルコースの岩です。そのためモーグルコースの岩は、大雪渓の積雪量・雪解け状況を最も早く観測できるバロメーターとなります。7月になるとこの付近にモーグルコースが作成され、多くのスキーヤーが集まることから、モーグルコースの岩と呼称させていただいております。

今週はほとんど雪解けを見せず、先週とほとんど変わらない状況です。そのため、昨年より2週間遅い雪解け状況です。他のエリアが昨年より1〜2週間も早い雪解けを見せる中、昨年より積雪量が多い箇所はここだけです。

 

昨年の石碑の岩
2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2014/06/20〜21) D
先週の石碑の岩
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2015/06/13〜14) A
今週の石碑の岩
昨年より1週間早い雪解け

そして、モーグルコースの岩から南へ約100mほどのところに、大雪渓で二番目に姿をあらわす岩があります。先週は昨年より1〜2週間早い雪解けでしたが、今週は1週間早い状況で、雪解けが若干遅くなっています。

 

【大雪渓下部 U、大雪渓に集まるスキーヤー・ボーダー】

モーグルコース

こちらはモーグルコース。現在、2本あります。

 

今日もコブ管理人が終日整備

今週もコブ管理人が終日整備に汗を流します。滑走するスキーヤーの技術やスタイルによって、コブの形状が変化してしまうため、常に整備が必要です。また、深くなったコブを戻すために定期的にデラがけも必要で、滑走するスキーヤー・ボーダーの方々にご協力お願いいたしますので、快くお受けいただけると幸いです。

 

「朝一番は足が重い...」 − 無理をすると高山病に 鶴ヶ池雪渓から大雪渓に変更

「朝一番は足が重い...」と、なかなか先に進まない左のモーグラー。遠方からお越しの方も多いかと思いますが、いきなり標高2600〜2700メートルの高所に上がってきますので、体への負担は知らないうちにかかっているものです。無理に動けば高山病にかかる恐れもありますので、体が思うように動かないときは無理をしないことで、さらに悪化傾向がみられれば、すぐに下山することをお勧めします。

右の方は、今シーズン初めての大雪渓入り。「鶴ヶ池雪渓がそろそろ滑走できないとおもってこちらに来ました。」とのこと。今シーズンの鶴ヶ池雪渓は6月21日(日)まで滑走可能です。おそらく、次週末は多くのモーグラーが鶴ヶ池雪渓から大雪渓へと移動され、さらににぎやかなモーグルコースとなることでしょう。

 

ぴーちくぱーちく

スタート地点で一旦腰を下ろしてしまったら、話に花が咲き、滑り始める気配は全くありません。話の内容はスキーやボードに関することではなく、本当にどうでもよい内容ばかり...まぁ〜それがため込んだストレスのダイエットにつながってくれればいいんですが...(笑)

 

毎週恒例のゲート設置模様

さて、こちらでは、毎週恒例のゲート設置の模様です。

 

フラットに仕上げる

梅雨入りしても本格的な雨降りが少なく、バーンには固い部分は少ない状況ではあるものの、部分的に気になるところを細かく砕いてバーンをフラットに仕上げます。

 

年々メンバーが増えてうれしいです

ゲートの計測器を設置するこちらの方。「年々、メンバーが増えてうれしい限りです。遠方からお越しの方も多く、中には九州から参加して下さる方もいらっしゃいます。」 ゲートを設置してバーンを整備して、十分な練習環境を整えたうえで、安全に滑走できる機会を作るから、多くのメンバーが参加してくれるものだと思います。

 

「一応、今日で今シーズン最後です」 「もしかすると来週も来ちゃうかも...」

さて、今日が今シーズン最後という常連の方。12月のシーズンインから約7ヶ月間にわたり、毎週、ノリクラに通い続けました。毎週お会いしていましたが、来週からお会いできなくなるようには思えず、別れ際に「また、来週!」と、いつものように投げかけたところ、いつものように答えてくれましたので、多分来週もお越しくださるのではと勝手に期待しています...

 

のんびりマイペース 今日はとうちゃんの板を借用してきました(さび落とし完了!)

今日ものんびりとマイペースで楽しむこちらの方。「今日はとうちゃんの板を借用してきました!」。ちゃんとエッジのさび落としができましたので安心してくださいね。おとうちゃん!!

 

【昨年の今ごろは?】

2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.7(2014/06/20〜21) @

通常、土曜日・日曜日の取材ですが、この週末は6月22日(日)に第9回乗鞍天空マラソンが開催された都合から、今回は一日前倒しして6月20日(金)・6月21日(土)に取材を行いました。なお、乗鞍天空マラソンの特集は、7月上旬に掲載を予定しております。今しばらくお待ち下さい。

6月20日(金)は、岐阜県側の乗鞍スカイラインから山頂方面を目指します。昨晩はややまとまった雨が降っていたものの、夜明け前までには収まり、曇り空の朝を迎えます。シャトルバスが出発するほおのき平駐車場では、雲間に青空がのぞくようになって来たものの、乗鞍スカイラインは、森林限界を超えるあたりから目の前すら見えないほどのひどい濃霧。8時の畳平の気温は2℃まで冷え込んでいます。また、ほとんど視界の効かない岐阜県側とは裏腹に、長野県側の大雪渓・位ヶ原方面は視界が開け、平日ではあるものの、数名のスキーヤーがモーグルコースを滑る様子があります。ただ、山頂方面は畳平と同様に絶えず足早に雲が流れ、ほとんど視界の効かない状況です。そして、13時ごろからパラパラと雨が降り始め、15時過ぎには冷たい雨が激しく降ります。視界の効かない中での取材に苦労させられた一日でした。

6月21日(土)は、長野県側の乗鞍高原より山頂方面を目指します。天候は薄曇で山頂方面はやや霞んでいるものの、はっきりと確認できます。観光センター前駐車場は、明日開催される第9回乗鞍天空マラソンの大会会場となるため、駐車スペースの一部が規制され、乗鞍岳春山バスの発着は車道沿いの路線バスの停留所に変更されています。そして、春山バス始発便が大雪渓に到着した8時時点では、まだ雲間に青空が確認できたものの次第に雲は厚くなり、山頂付近が雲に飲み込まれるようになってきます。そして、お昼を過ぎたあたりからパラパラと雨の降りだす状況となってしまいました。午後からは乗鞍天空マラソンの受付が観光センターで実施され、受付を済ませた選手の中には、乗鞍高原内の特設のトレイルコースを楽しむ様子もあり、会場周辺は多くの人で賑わいます。夕方になって、雨の降り方が強くなるタイミングが見られるようになり、明日のレースが気がかりです。

 

<編集後記>

今年度の乗鞍来場者は16万5千人が見込まれています。これは乗鞍スカイライン・畳平の入場者数と考えられますが、5月15日から10月31日までの5ヶ月半での数字ですから、単純に計算して1ヶ月あたり3万人となります。もっとも、お盆休みやシルバーウィークのある8月・9月と、夏山シーズン前の5月・6月では、その差は大きいと考えられますが、それでも5月はかなり少ない数字になったとのこと(具体的な数字は不明)。

10年くらい前だったか記憶が定かでありませんが、今年と同じように雪解けが早く、畳平お花畑の開花が例年よりも早く進んでいたため、除雪などを行って一般開放を早められないかと問い合わせた際には、「自然相手だから、来場者には融雪を待ってもらう。」と、おっしゃっていました。

今年の畳平お花畑は除雪を行って早期に一般開放されたわけですが、これまでの「観光客のためにわざわざ手を加える必要はない」というスタンスから、今回は来場者目線で何でもやってみるという雰囲気が感じられました。

マイカー規制前は50万人近い来場者がありましたので、マイカー規制以降は確かに激減しておりますが、その反面、高山植物の植生が回復してきているとのこと。それを来場者に還元することは大事で、規制と開放のバランスを取りながら、常に来場者目線で取り組む必要があると思います。

 

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