ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.17(2018/09/01) A
【大雪渓までの沿道の風景 U】
三本滝ゲート − この先マイカー規制 |
観光センターから7km先にある三本滝ゲート。マイカー規制はここから始まります。先ほどの観光センターと同様に、今日はこちらも閑散とした状態。夏休みが終わり紅葉シーズンが始まる9月末までは、晴れた日であったもなかなか客足が伸びないのが毎年の傾向ですから、致し方ないところです。
かもしかゲレンデから ゲレンデとカラマツ林は人工構造物 |
大雨のあとは古い滝が息を吹き返す |
早朝の大雨が収まり、次第に雲が抜けて行きます。左は三本滝ゲートを過ぎて、かもしかゲレンデからの風景。何気ない光景なんですが、ゲレンデとカラマツ林との組み合わせがちょっと幾何学的な面白さがあります。どちらも人工的に整備されたものですからもっともなところですが...
そして、大雨が降ると枯れた古い滝が息を吹き返します。善五郎の滝や三本滝のような大きな滝ではありませんが、沿道にはこのような滝がいくつか見つけることができます。
29号カーブ上の直線区間 | ヤマトリカブト |
山野草の季節が終わりに近づく中、夏の終わりから咲き始めるヤマトリカブト。今日は雨が降っていて、虫の姿はありませんが、花の中に(正確には萼)頭を突っ込んで蜜を吸うマルハナバチの姿をよく見かけます。これから花が少なくなる時期に入り、蜜を集めるのに苦労するようになりますが、トリカブトの密には毒はないんでしょうか?
28号カーブ − 紅葉スポット | 冷泉小屋下 23号カーブ |
先週と比べて沿道の木々の色合いに変化が感じられるようになり、部分的な紅葉がいたるところで見られるようになってきました。昨年よりも変化が早い様子が見られます。なお、例年、同様の推移を示し、本格的な紅葉まで2〜3週間程度かかりますから、ここから一気に進むわけではありません。
位ヶ原山荘 |
標高2350メートルの位ヶ原山荘を過ぎると...
ひんやりとした空気感 − 秋の気配 |
空気感がひんやりとしたものに変わってきます。明らかに先週までのものと違います。季節が変化を始めている証拠でしょう。
位ヶ原11号カーブ 他に先駆けて紅葉 − でも来週には枯れてしまう |
そして、こちらは位ヶ原山荘から1.5kmほど進んだところにある11号カーブ。ご覧のようにすでにピークに近い色合いを見せるウラジロナナカマドがあります。このウラジロナナカマドだけは、他に先駆けて紅葉していますが、今年は昨年よりも早く色づいています。
ただし、このままの色合いが維持されることはなく、おそらく、来週には枯れてしまうと考えられます。
本格的な紅葉は9月中下旬から |
大雪渓・位ヶ原周辺は、ご覧のように若干色合いに変化が見られるものが、いくつか見られる程度で、まだ、紅葉が始まったといえるレベルではありません。ただ、これから9月中下旬に向けて少しずつ進んで行きます。
【雪渓下部、雪渓中段】
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先週の雪渓下部 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.16(2018/08/25) A |
今回の雪渓下部 積雪が完全になくなる |
ここからはいつものように大雪渓の様子をお伝えします。先週わずかに残っていた雪渓下部の積雪は、完全になくなってしまいました。
雪渓下部 − 例年よりやや早めの雪解けで終了した |
雪渓下部の積雪が完全に消滅したのは、2017年は9月第1週、2016年は7月第4週、2015年は9月第3週、2014年は9月第2週、2013年10月第1週、2012年・2011年・2010年は9月第2週、2009年は9月第1週でした。
概ね、9月第1〜3週あたりに集中しており、昨年と同様、例年よりやや早めの雪解けという形で終了したことになります。
石碑の岩 |
こちらは大雪渓で二番目に姿を現す石碑の岩。
チングルマ − 今週は大きな変化はない |
こちらは毎年定点でお伝えしている石碑の岩にあるチングルマ。今週は特に大きな変化はありません。一部で紅葉が始まっています。
大雪渓から肩の小屋に向かう登山道 | 花火のようなチングルマ |
大雪渓から肩の小屋に向かう登山道では、まだ、高山植物の季節が続いています。右の画像は雨に濡れたチングルマの綿毛、晴れていればふわふわした状態ですが、雨に濡れて花火がパッと開いたような姿を見せています。小さな高山植物の世界も見逃せないものがありますね。
コウメバチソウ |
こちらはコウメバチソウ。この時期、咲いている高山植物は数く少なく、貴重な存在です。
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まだ咲いていないコウメバチソウ | 咲き始めたコウメバチソウ | |
★雄しべが遅れて咲くことで自家受粉を防ぐ★ |
実は、左は「まだ咲いていないコウメバチソウ」で、右は「咲き始めたコウメバチソウ」といってもよいでしょうか?めしべを囲み、先端に球状の腺体があるのは、仮雄蕊(かゆうずい)と呼ばれる器官で、受粉機能はありません。
咲き始めのコウメバチソウの雄しべは、左の画像のようにめしべの柱頭や子房を包むように閉じていて、その後、右の画像のように徐々に開いて行き、受粉する機能が発達して行きます。花弁の開花よりも雄しべが遅れて開く仕組みは、自家受粉を避けるためといわれています。
雪渓中段も雪解け完了 |
こちらは雪渓中段。積雪が完全になくなりました。雪渓中段の積雪が消滅したのは、2017年は9月第2週、2016年は7月第4週、2015年は9月第2週、2014年8月第4週、2013年は9月第2週、2012年は9月第2週で、今年は例年並みか、やや早い雪解けで終了したことになります。
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