ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.14(2012/08/11〜13) F
【お盆休み前半の様子@ − 8月12日(日)は快晴と湧き上がる雲】
8月12日(日)の観光センター前駐車場 − 快晴の朝 |
こちらは取材二日目の8月12日(日)、ご覧の通り、雲ひとつない快晴の朝が始まります。6時の時点の気温は12℃。ひんやりした感覚を通り越して厚手のウェアが必要なほどの寒さです。しかし、その寒さも強い日差しですぐに解消されます。
天気予報が良い方向へ外れてくれました |
天気予報では曇と雨のマークが並んでいて、良い方向に外れてくれました。しかし、天気が悪いとの情報が先立っていましたので、観光センター前駐車場にお越しの方も少なめ。今日はお盆休みでしかも週末ですから、早朝から満車になってもおかしくない状態ですが、6時の時点で98台と、半分程度しか埋まっていません。
右の画像の乗鞍高原から出発する長野県側のシャトルバスは通常通りの運行が始まりました。しかし、平湯温泉・ほおのき平駐車場から出発する岐阜県側のシャトルバスは、本日午前中の降水確率が40%以上の天気予報が出ていましたので、この良い天候にもかかわらず、雨天時の減便ダイヤであるBダイヤでの運行が始まりました。しかし、この天候で2時間に1便しか運行しないBダイヤの適用を続けるわけにはいかず、結局、臨時便の増発運行がとられたようです。
快晴の朝はすぐに雲がわく − 夏山特有の天候 |
早朝から強い日差しに照らされると、地表部分の空気が暖められて上空には雲が湧き上がるようになってきます。そしてさらにひどくなると雷雨・夕立へとつながって行きます。これが夏山特有の天候の推移で、今日も雲ひとつない快晴は、7時ごろまでしか続かず、8時近くになると、ご覧の通り、青空はほとんど雲に包まれてしまいました。
このような状況ですから、「登山は朝一番が鉄則」と、言われるわけです。
県道乗鞍岳線、荒田沢橋上 26号カーブ 乗鞍岳線でもっとも急勾配のカーブ |
さて、話が変わりますが、こちらは観光センターから県道乗鞍岳線を約11km登った26号カーブ。摩利支天バス停と冷泉小屋の間にあり、荒田沢橋の少し上です。通称:石畳と呼ばれるところで、冷泉小屋前の激坂(九十九坂)といったら、ヒルクライムを経験される方ならご存知でしょう。
県道乗鞍岳線の中でもっとも勾配のきついヘアピンカーブです。ご覧のようにカーブの前後ではバスの背丈ほどの勾配差があります。
壁のように立ちふさぐ激坂にヒルクライマーは立ち漕ぎ |
ですから、どのヒルクライマーも立ち漕ぎで登って行きます。実際に登ってみると、目の前を壁にふさがれているように感じるほどです。この先も同じようなヘアピンカーブの坂が続いて、ここでギブアップしてしまう方も多いでしょう。
バスは道幅いっぱいに回る |
また、別の視点から見ると、これだけ急なヘアピンカーブですから、シャトルバスなどの大型車両は道幅いっぱい使わないと曲がりきれません。
ヒルクライム後の下山走行では、バスとの対向に注意 |
ですから、自転車といえども、大型バスとのすれ違いは困難です。もし、帰りの下山でこのカーブにハイスピードで進入して、大型バスと遭遇してしまったらどのようになるか...道路交通法上の優先権などといった問題ではなく、事故の際のダメージを受けやすい自転車での下山には、防衛運転に心がける必要があります。
大雪渓前 − 雲が間近に |
森林限界を超えた大雪渓付近に差し掛かると、山麓から絶えず雲が湧き上がり、雲の中の様子が手に取るようにわかります。目線と同じ高さに雲が存在する環境は、非日常的な光景といえるでしょう。
お盆休み − シャトルバスも増便体制 |
こちらは午後2時のシャトルバス下り便。ご覧の通り、大連隊を組んで運行されています。少なめの人出とはいってもやはりお盆を迎えて、多くの方がお越しになっています。明日以降もまだお休みが続くと思いますが、さらに人出が増えるでしょうか...
お盆休みや紅葉シーズンなどの繁忙期のシャトルバスの混雑は、上りは8時台から10時台が混雑し、ピークは9時便。下りは午後になると混雑が始まり、14時05分便と15時05分便にピークが見られます。そのため、上り便・下り便ともにこの時間帯をはずして計画を立てると良いでしょう。
【お盆休み前半の様子A − 8月13日(月)は生憎の雨】
8月13日(月)の観光センター前駐車場 − 雨の朝 |
さて、取材三日目の8月13日(月)は、6時前から降り始めた雨に見舞われた朝を迎えます。
シャトルバス乗車 − 雨に濡れないように |
シャトルバスに乗車しようとする観光客の方が、雨に濡れないよう停留所のテントに身を寄せています。この日のシャトルバスは、長野県側・岐阜県側ともに晴天時のAダイヤでの運行でした。
時折見せる青空に惑わせられる | 雨の止み間に出発するヒルクライマー |
周期的に激しく降る様子も、時折、上空には青空が見え隠れしています。雨の止み間に出発するヒルクライムの方々は「ずぶ濡れ覚悟で出発します。」と、おっしゃりながら観光センターを後にします。
貴重なお盆休みに遠方からお越しになっていますので、あきらめるわけには行かないといったところです。
観光センターを行き交う方々 |
その後も降ったり止んだりを繰り返す状況が続き、観光センターには、この先のスケジュールをどうしようかと観光案内のパンフレットを片手に思案する様子がありました。雨に見舞われた乗鞍高原は、屋内で楽しめる施設が少なく、車の中で待機して天候回復待つ方々もいらっしゃいました。
キャンプ用具一式を満載したサイクリスト − 地図を片手に思案 |
今日は県道乗鞍岳線を畳平まで登り、その後は乗鞍スカイラインを下って岐阜県高山市古川に向かう予定ですが、キャンプ用具一式を満載した自転車で、雨の中を激坂を登りきることは至難の業。地図を片手にどうしようかと思案する時間だけが刻々と過ぎて行きます。
待ちきれないヒルクライマーが続々と出発 | 低い雲が垂れ込める − 一進一退する天候 |
時間ばかりが過ぎてゆく中、雨の降り方が幾分弱くなり、待ちきれないヒルクライマーが続々と出発です。しかし、一進一退を繰り返す天候の中、上空には低く垂れ込める雲に覆われていて、登って行くほどその雲が迫ってくる状況です。
大雪渓入口付近 − 濃霧にヒルクライマーの姿が飲み込まれる |
こちらは標高2600メートルの大雪渓入口(大雪渓・肩の小屋口バス停)。標高2350メートルの位ヶ原山荘を過ぎて森林限界を超えると、濃霧に包まれます。左の画像にはヘッドライトを点灯したタクシーが通過しますが、この向こう側にトイレと避難小屋があります。ここから(大雪渓入口から)トイレまで約50メートルですが、濃霧でその存在が確認できません。
視界は30メートルで、ヒルクライマーの姿は完全に濃霧に飲み込まれています。
県境 −濃霧・突風・横殴りの雨、強風に自転車があおられる |
大雪渓入口付近を過ぎるとさらに濃霧がひどくなり、画像の県境付近に差し掛かると、県境を越えて突風が真正面から襲い掛かります。横風ではないため、自転車が転倒することはありませんが、一瞬、自転車が止まってしまう程の突風です。遮るもののまったくない標高2720メートルの県境付近では、否応なく暴風雨にたたきつけられます。
おそらく、この状況をスタート時点の観光センターで把握していたら、絶対にヒルクライムに出かけようとは思わない状況です。
暴風雨の中の肩の小屋 − 逃げ込んでくる登山客をもてなす |
こちらは標高2780メートルの肩の小屋。暴風が吹き込むのを防ぐため、シャッターが半分閉められていますが営業中です。剣ヶ峰登山に向かおうとされる方もひどい風雨で、肩の小屋に一旦避難される様子が続きました。
さらに翌日の8月14日(火)は、乗鞍スカイライン雨量規制のため通行止めとなって、シャトルバスは長野県側・岐阜県側ともに運休となりました。せっかくのお盆休みですが生憎の天候が続いてしまいました。(→ Next)
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