ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.19(2015/09/12〜13) @
週の半ばに日本列島を横断した台風18号やそれに続く雲の帯によって、各地で甚大な洪水被害が発生しておりますが、ノリクラでは、台風通過当日の9日(水)は、シャトルバスが台風影響を懸念して運休したものの、乗鞍スカイライン・県道乗鞍岳線ともに平常通り通行可能な状態で、台風による影響はありませんでした。
9月12日(土)は、鰯雲が広がるきれいな秋空の一日でした。日差しはかなり強いものの、さわやかな風に包まれて暑さというものを一切感じることはありません。観光・登山にお越しの方はやや少な目な状況でしたが、ヒルクライマーの方は目立ち、「紅葉の下見に今日は来ました。」と、おっしゃる方が何人もいらっしゃり、色づき始めた木々を見つけると足を止めて、カメラを取り出すヒルクライマーが数多くいらっしゃいました。午後になってもきれいな青空と心地よい風は続き、秋の良さを十二分に感じられた一日でした。
9月13日(日)は、曇り空ですが、朝焼けのきれいな夜明けを迎えます。天候が崩れる予報のため、観光センター前駐車場の車は昨日以上に少ない状態。9時頃になると、三本滝付近でも怪しげな風が吹くようになり、位ヶ原から先は冷たい空気に覆われ、大雪渓は濃霧と強風で気温6℃まで低下します。山頂から激しく吹き降りる状況は午後になっても変わらず、大雪渓のスキーヤー・ボーダーもお昼すぎにはほぼ全員が撤退。日中でも一桁台の気温は秋になって初めてで、翌日9月14日(月)の早朝には畳平(鶴ヶ池)で初霜・初氷を観測しました。初霜は昨年より2日遅く、初氷は7日早い記録です。
大雪渓は、全体的には雪解けがさらに遅くなって、昨年よりも積雪が多い状況になってきました。
雪渓上部左側が1週間以上早い雪解けですが、それ以外のところでは昨年より2週間程度遅くなっています。滑走可能エリアは、雪渓上部右側でかろうじて滑られますが、実質的には雪渓上部左側のみ一ヶ所だけ。この雪渓上部左側は過去最高の長さが続いています。雪渓中段はほぼ雪解けが終了し、雪渓下部はかなり小さくなって滑走不可です。また、雪渓上部左側は急斜面のため上級者・経験者限定で、これからノリクラデビューはお勧めできませんので、ご了承ください。
それでは、12日(土)〜13日(日)の様子をご覧ください。
【観光センター前駐車場】
観光センター前駐車場 |
早朝6時の観光センター前駐車場。日の出がどんどん遅くなって、5時30分過ぎにならないと夜が明けません。
鰯雲 | 「あの雲はなんていう雲だい?」 =雲に興味のない人をも惹きつける= |
気温は6℃、涼しさを通り越して朝晩はストーブがないと寒いほど。今日はご覧のようにきれいな鰯雲が上空を覆っています。「この雲はなんていう雲だい?今、お客さんから、鷹の渡りを見に行きたいって言われたけど、まだ、早いんじゃないかな...」と、常連のタクシー運転手。
鷹の渡りはノリクラではなく、乗鞍高原と奈川の境にある白樺峠(上高地乗鞍スーパー林道A線)が有名ですが、9月10日前後から始まって、25日前後がピークのようで、ちょうど大雪渓・位ヶ原の紅葉のピークと同じような時期ですね。
雲に全く興味のない人でも、鰯雲がきれいに浮かんでいると、ついつい空を眺めてしまいます。ただし、鰯雲は天候悪化の前兆といわれていますので、あまり歓迎されるものではありません。
ご来光バスが戻ってきた | 「今日が一番きれいな日の出、朝焼け最高!」 |
そして、ご来光バスが観光センターに戻ってきました。いつも元気な乗務員さん。「今シーズンは何回かご来光バスの担当をしましたが、今日が一番きれい!東の空の雲が焼けて見事でした!」と、少し興奮気味で話してくださいました。
ちょうど日の出の頃は、東の空にも鰯雲がかかっていて、ピンクに染まっていました。雲の全くない日の出よりも、赤く染まった雲がたなびくとよりダイナミックになり、日の出を好んで撮影される方の中には、朝焼けがきれいに現れなかったら日の出前に撮影をやめてしまう場合もあるほどです。
シャトルバス始発便到着 |
シャトルバス始発便が観光センターに到着。紅葉にはまだ早いため、カメラを構えた方はまだ少ない状況。
鰯雲を眺めて | 今日は紅葉の下見に来ました |
鰯雲を眺めながら、そろそろヒルクライムに出発。「いつもはもう1週間後に来てますが、今日は紅葉の下見に来ました。」
さわやかな空気が秋のヒルクライムへ誘う |
まだまだ、紅葉が始まったという雰囲気はあまり感じられない状況ですが、さわやかな空気と鰯雲が秋のヒルクライムへといざないます。
【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景 T(乗鞍高原〜三本滝ゲート)】
鈴蘭バス停のカエデ |
それでは、大雪渓までの沿道の様子をご覧ください。こちらは観光センターを出てすぐのところにある、鈴蘭バス停付近のカエデ。
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昨年の鈴蘭バス停のカエデ 2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.19(2014/09/13〜14) @ |
今週の鈴蘭バス停のカエデ 昨年とほぼ同じ色合い |
全体的な色合いとしては、昨年とほぼ同じ状況です。昨年は部分的に濃い部分がありましたが、今年は全体的に均一な色付きです。
善五郎の滝駐車場付近 | ススキの穂 |
こちらは善五郎の滝駐車場付近。ススキの穂が朝日を浴びています。
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花が開いたススキ(2週間前) ノリクラ 雪渓カレンダーVol.17(2015/08/28〜29) @ |
花が終わって穂が開く(今週) |
左は2週間前のススキの花。花が終わって穂が開いた状態です。普段はこんな細かな違いなんて意識もしないところですが、ちょっと目線を変えてみると、いろいろな発見があります。
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昨年の善五郎駐駐車場〜休暇村間 2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.19(2014/09/13〜14) @ |
今週の善五郎駐駐車場〜休暇村間 若干、黄色味が少ない |
乗鞍高原の紅葉の見頃・ピークは1ヶ月先のことですが、色合いの変化は徐々に始まっています。昨年と比べると、やや黄色味が少ない様子がみられます。
ミズナラのどんぐり − 今年は豊作 |
しかし、ミズナラのどんぐりは、例年と比べて今年は豊作です。いつもなら、探さないと見つけられないほど少ないのですが、ご覧のように鈴なりに実っています。
秋だってヒルクライムシーズン |
ノリクラは夏でも冷涼な場所ですから、夏のヒルクライマーは多いのはもっともなこと。でも、秋になってもヒルクライムシーズンは続いています。
みんなで一緒になって走るのが楽しい |
今日も数多くの方がお越しになっています。もちろん、夏場のヒルクライムと異なり、登っている最中でも体が冷えてくることがあり、また、下りに関しては完全な防寒対策を施す必要があります。
10月中旬くらいまでは、晴れていれば普通にヒルクライム可能ですが、曇った日は冬用の風を通さないウエアが必要になり、雨の日や10月中旬以降は晴れていても寒いため、お勧めしません。
草刈りを免れた山野草 | ゲンノショウコ 「現の証拠」 − まさによく効く胃腸薬 |
沿道は草刈りがされてしまい、山野草がすべてなくなってしまいましたが、そんな中に草刈りを免れた花が残っていました。こちらはゲンノショウコ(現の証拠、フウロソウ科フウロソウ属)。何とも変わった名前なんですが「胃腸によく効く証拠」という意味で、地上部分の全草が下痢止めとしての効果があり、現在でも生薬として取り扱われています。
そして、花の後ろに実ができていますが、これが弾けたあとの姿形が、神輿(みこし)のように見えるため、ミコシグサとも言われています。
さらに道端を見てみると...
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アキノキリンソウ | アキノキリンソウミフクレフシ |
現在咲いている黄色の花はアキノキリンソウ。そこにはムシコブができていました。アキノキリンソウミフクレフシ(秋麒麟草実膨五倍子)。アキノキリンソウミタマバエがつぼみに産卵したところが、異常増殖したためにできたものです。中の幼虫は成熟すると穴をあけて出たのち、地中で越冬するとのこと...
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先週の鈴蘭橋 ノリクラ 雪渓カレンダーVol.18(2015/09/05〜06) @ |
今週の鈴蘭橋 先週よりも黄色味が進む |
紅葉を迎えた鈴蘭橋(昨年10月中旬) 2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.24(2014/10/18〜19) D |
ノリクラの紅葉エリアは標高2700メートルの大雪渓から標高1500〜1400メートルの乗鞍高原まで広がり、9月中旬の大雪渓から、10月末の乗鞍高原まで、1ヶ月半もの長期間楽しむことができます。しかし、各エリアの紅葉は長くて2週間、本当に良い状態のピーク期間は1週間もない状態。そのため、事前にいつが良いのかどこが良いのか下調べしておく必要があります。
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今週の休暇村〜三本滝間(カラマツ) =カラマツが紅葉すると秋が終わる= |
紅葉を迎えた休暇村〜三本滝間(カラマツ、昨年10月下旬) 2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.25(2014/10/25〜26) D |
乗鞍の紅葉情報をまとめた 紅葉情報INDEX から当WebSiteのすべての紅葉情報へアクセスできます。その中には、乗鞍の紅葉状況を大まかに把握できる乗鞍紅葉情報 があり、初めての方はぜひご覧ください。
また、紅葉の撮影ポイントを地図上で紹介する、ノリクラガイドマップ(紅葉 上部エリア版)、ノリクラガイドマップ(紅葉 下部エリア) は改訂作業が終わり、先週公開いたしました。県道乗鞍岳線沿線のビュースポットが把握できるようになっております。また、撮影当時のノリクラ雪渓カレンダーにもリンクされていますので詳細な状況を知ることができます。紅葉撮影にお越しの際には一度ご確認ください。
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