ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.1(2010/05/14〜15) F

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(Update:2010/05/20)

 

【稜線目指して】

登山道は雪の中 − 稜線までまっすぐ登行

肩の小屋から稜線を目指しますが、夏道どころか周辺のハイマツすらなく、肩の小屋からまっすぐ稜線に向けて進みます。夏道の一部が見え始めている年もありますので、今年はこの付近でも積雪量の多いといえます。

 

魔利支天岳 コロナ観測所 − 2010年3月で閉鎖されました

稜線に向けて出発すると、先ほどの肩の小屋は小さく眼下にあって、魔利支天岳の山頂がほぼ目の高さに伺えます。魔利支天岳全体の積雪状況はほぼ昨年並み、その頂上にはコロナ観測所がありますが、今年3月で60年間の歴史に幕を閉じました。例年、この時期には発電設備のエンジン音が終日響いていますが、その唸る音がないために、穏やかな今日の状況をより一層感じさせてくれるのかもしれません。

 

朝日岳の斜面 − 傾斜はさらに急に...

肩の小屋から朝日岳の斜面を登り、目線が魔利支天岳と同じところまでやってくると、傾斜がさらに急になってきます。

 

眼下には大パノラマが広がる − すっきりとした空気にビビッドな青と白のコントラスト

お昼を回って、雪面はかなり緩んできて、急斜面になっても比較的グリップの良い状態となります。ボードを担いでゆっくりと登ってこられるこちらの方々。今日は三本滝レストハウスを7時に出発してツアーコースを登ってきました、時刻は14時近くとなり、もう、足が言うことを効いてくれない様子...「以前はツボ足で登ってきましたが、今回はスノーシューを履いてきました。でも登るスピードは、全く早くなりませんよ〜」と、おっしゃっています。それでも、スノーシューの外周にエッジがついてグリップは良く、さらにクライミングサポートのおかげでツボ足よりは幾分楽に登行することができるはずです。

 

【稜線】

蚕玉岳〜朝日岳稜線

こちらは蚕玉岳(こだまだけ)〜朝日岳の稜線です。

 

今回の蚕玉岳〜朝日岳稜線
昨年並み
昨年の蚕玉岳〜朝日岳稜線
2009 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2009/05/15〜16) C

稜線の東側と西側では昨年と雪付きに違いがあり、今年は西側のほうが少なく、東側のほうが多い状況。それでも全体的には昨年並みで、例年よりも多い積雪です。

 

昨年の権現ヶ池
2009 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2009/05/15〜16) C
昨年の朝日岳
2009 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2009/05/15〜16) C
今回の権現ヶ池
昨年並み
今回の朝日岳
昨年並み

権現ヶ池・朝日岳についてもほぼ昨年並みです。

 

稜線でのんびりと休憩 − 穏やかな状況である証拠

14時の稜線付近の気温は6℃。いつもなら強風の吹きぬけますが、今日は本当に穏やかな天候が続きます。手に取るように近くに感じる遠景の山並みに向かって稜線を滑り降りて行くスキーヤーがこの後も大雪渓へ向けて勢いよく落ちて行きます。

 

【剣ヶ峰〜蚕玉岳】

蚕玉岳〜朝日岳の稜線からさらに進んで、こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線。

 

今回の蚕玉岳
昨年より30センチ少ない
昨年の蚕玉岳
2009 ノリクラ 雪渓カレンダーVol.1(2009/05/15〜16) D

 蚕玉岳山頂は昨年よりも30センチほど少ない積雪です。

 

稜線付近には少し雪庇が...

山頂付近の積雪が少ないことと稜線付近に雪庇(せっぴ)が少し見られることから、風の影響があることが分かります。それでも稜線から滑り降りることができないほどの雪庇ではありません。

 

バーンは全面えびの尻尾に覆われる

降雪のあったバーンはご覧のようにえびの尻尾が一面に広がります。この時期はなかなか見られない光景です。

 

今回の位ヶ原
ほぼ昨年並み
昨年の位ヶ原
2009 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2009/05/15〜16) D

こちらは稜線から少し滑り降りたところから見た位ヶ原。ほぼ昨年並みです。年によってはもっと雪解けが進んで、はっきりとした唐草模様ができていますので、例年よりも多い積雪です。

また、県道乗鞍岳線の除雪が宝徳霊神バス停のある5号カーブから数百メートルほど進んでいることもわかります。

 

今回の稜線直下の岩
昨年よりも多い積雪
昨年の稜線直下の岩
2009 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2009/05/15〜16) D

 剣ヶ峰から続く稜線直下は昨年よりも多い積雪量です。

 

3分の1地点(急斜面から緩斜面へ) − 岩の頭はほとんどありません

この付近は稜線から県道乗鞍岳線との合流地点までの区間を3分の1程度滑走したところ。雪解けが進んで6月中下旬ごろになるとこの付近を境に滑走エリアが上部と下部に分断されて滑走できなくなります。現段階ではほとんど岩の頭はなく、例年よりも積雪量は多い状況です。

この付近から下部は緩斜面となり、両脇にはハイマツ帯で縁取られるようになり、ここに沢があること認識できます。

 

ただ、そのハイマツ帯もご覧のようにごく一部が見えている程度。

 

全景

この付近が県道乗鞍岳線との合流地点ですが、まだ除雪されていないため正確な積雪量は分かりません。稜線からの滑走エリアは全体的に昨年並みかやや多い状況です。

 

【昨年の今ごろは?】

2009ノリクラ雪渓カレンダーVol.1(2009/05/15〜16)

15日(金)は乗鞍スカイライン開通初日。この1〜2年、乗鞍スカイライン開通初日は通行止めが続いていましたが、昨年は正常どおりシャトルバスは始発便から運行が再開され、ほおのき平駐車場でのシャトルバス出発式、それに引き続き、畳平での安全祈願神事、乗鞍岳山開き祭りが執り行われました。午前中は若干曇り空でしたが次第に天候は回復し、神事が執り行われた10時の畳平は6℃で、参加した一般の方々もアウターさえ着ていれば寒さを感じることはありませんでした。

翌日の16日(土)は長野県側のツアーコースへ。曇り空が広がる中、始発の春山バスは2台運行で、バスを待つ方々はやや寒そうな雰囲気。ツアーコースも入口急斜面手前付近まで滑走できる状況で、尾上部の位ヶ原急斜面は午後になると吹雪の様相を見せました。

 

<編集後記>

2010シーズン ノリクラ雪渓カレンダーの連載を開始いたしました。冒頭でもお伝えしたように連載開始から10年目を迎えました。連載を開始したのは2001年5月で、その当時はまだマイカー規制前でしたから、この10年間で色々な変化を迎えました。

その変化は自家用車が乗り入れられないという制度面はもちろんですが、それに関連して人々の考え方が大きく変わってきているように感じます。特にこの数年は省エネ・温暖化などへの関心が高いこともあって、ノリクラを訪れる方の多くが環境美化への意識が高まってきているように感じます。

そして、バックカントリーなど自然フィールドへの関心も高くなっているのもあって、単なる観光という意識だけではなく、自然フィールドと触れ合いたいという目的意識でノリクラに訪れる方が増えていてます。

これからの観光は単なる設備を作るのではなく、訪れた方が自然フィールドと触れ合う接点をたくさん提供できるかどうかにかかっているのかもしれません。ノリクラは他の高山帯と比べると、自然環境に触れ合いやすく、初めての方にとって敷居の低さが一つの特徴でもあります。それをどのように生かすかが今後の課題かもしれません。

 

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