ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.17(2008/09/06〜07) C
【高山植物】
コウメバチソウ(花) |
こちらはコウメバチソウ。先々週も紹介し、そのときはまだつぼみのものが多い状態でしたが、今週は大半のものがしっかりと開花しています。
しっかり咲いていないもの | しっかり咲いているもの |
しかし、その中でも「まだしっかり咲いていないもの」と「しっかり咲いているもの」との二つがあります。その違いは花柱を取り囲む雄しべの状態にあります。左の画像は雄しべが花柱を包んでいますが、右の画像は雄しべもしっかりと開き、花柱の様子がよく分かります。
左の画像では雄しべがしっかりと開ききっていないものの、その周囲には黄色の雄しべらしいものがあります。これは仮雄しべと呼ばれ、花粉はありません。また、この仮雄しべの分裂数によって、ウメバチソウ、コウメバチソウ、エゾウメバチソウの見分けができます。
チングルマ(実) | 綿毛の付け根には一つずつ実がつく |
開花の状況が遅い大雪渓エリアでもチングルマは完全に花が終わってきれいな綿毛が広がっています。その付け根にはさく果が一つ一つついていて、これが風に乗って新たな芽吹きの第一歩となります。
ミヤマキンバイ(紅葉) − 高山植物の紅葉は鮮やか |
高山帯の紅葉はウラジロナナカマド(赤〜黄色)と、ダケカンバ(黄色)が代表的ですが、年によってその色付きにばらつきがあり、霜や降雪で完全に色づく前に紅葉が終わってしまうことも多々あります。しかし、高山植物の紅葉はそんな環境の変化に余り左右されずにきれいな紅葉を見せてくれます。
こちらはミヤマキンバイがきれいな真紅に模様替えを始めています。このほか、前述のチングルマも同様に見事な真紅に変化し、錦の大パノラマを飾るウラジロナナカマドやダケカンバとは別に、ミクロの世界ではそれ以上にビビッドな色彩が広がり、「小さな紅葉」にも目が離せません。ですから、花の終わったあとの畳平の紅葉(草紅葉)も決して侮れません。
ミネズオウ(実) − 小さくても目立つ真紅 |
そして、小さな世界ではこちらのミネズオウ。花は小さなきれいなピンクでしたが、実はごらんのとおり真っ赤。右の画像のとおり、コケモモの実と比べればその小ささがよく分かります。しかし、小さいながらにもその赤の強さがはっきりとしています。
ゴゼンタチバナ(実) − 先端が徐々に赤くなる |
こちらは ノリクラ雪渓カレンダーVol.14(2009/08/15〜17)C ノリクラ雪渓カレンダーVol.15(2008/08/23〜24)C で紹介したゴゼンタチバナ。あまり変化はないように見えますが、花柱の先端が少しずつ赤みを帯びてきています。
オオヒョウタンボク(実) − 二つの実が融合して瓢箪の形に |
こちらのオオヒョウタンボクもしっかりと赤い実ができています。二つの実が融合して瓢箪のような形に見えるところからその名がつけられています。
沿道からも良く目立ちますが有毒です |
沿道からよく目立つ存在で、どんな味か口にしてみたいと思うかもしれませんが、一般的には有毒とされていますのでご注意ください。
【雪渓上部 T】
雪渓上部全景 − 上部はやや早く、下部は1週間遅い |
こちらは雪渓上部。昨年と比較すると左側と右側で若干の差がありますが、全体的には上部部分で昨年よりやや早く、下部では1週間遅い状況です。
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先週の雪渓上部右側全景 ノリクラ雪渓カレンダーVol.16(2008/08/29〜31)D |
今週の雪渓上部右側全景 横幅45メートル −1週間近く遅い状況 |
こちらは雪渓上部右側。先週と比較してお伝えします。横幅は先週の66メートルから45メートルに短くなって、ご覧の通り、かなりの雪解けが進んでいます。先週の段階では昨年より1週間遅い状況でしたが、今週はそれよりももう少し雪解けが進んでいるようです。
リフト土台 |
雪渓上部右側の右下(北東)付近にあって雪渓中段の上部に位置するリフト土台付近。雪渓からリフト土台までの距離は先週の36メートルから52メートルへ一気に雪解けが進んでいます。そのため、先週の段階では1週間遅い状況でしたが、今週はやや遅いといった所です。
中間部分で岩が大きく出ている |
中間部分ではご覧のように雪渓が途切れかかり、所々で岩の頭が大きく出てきています。
上半分でも岩の頭が − 滑走は困難 |
こちらは上半分の箇所。滑走できそうに見えますが、良く見ると岩の頭が出始めていて、滑走は無理な状態です。
こちらは雪渓上部右側の上端部分。
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先週の雪渓上部右側上端 |
今週の雪渓上部右側上端 |
先週の上端部分との比較をしないと状況がわからないほど変化しています。上端部分は先週から28メートルも下がっています。上端の位置は昨年よりやや早い雪解けと見られます。
全長160メートル − 長さは昨年よりも1週間以上遅い状況 |
上端から雪渓上部の下端までの距離は先週の193メートルから160メートルとなっています。上端の位置では昨年より早い雪解け状況を見せていますが、全長では昨年より1週間以上遅い状況となっています。
雪渓上部右側は来週になると猫の額ほどになっているかと考えられ、今後、滑走可能なエリアは雪渓上部左側のみとなり、初心者やソフトブーツのボードの方は滑走できませんので、ご理解ください。(→ Next)
■ご注意■
今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンにしてください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。
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