ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.2(2010/05/22〜23) D

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(Update:2010/05/27)

 

【5月23日(日)、雨のツアーコース】

三本滝レストハウス前駐車場

翌日、5月23日(日)の三本滝レストハウス前駐車場。朝からまとまった降り方を見せる雨のなっています。

 

春山バス始発便 − 訪れるスキーヤー・ボーダーの姿はない

いつもの週末なら三本滝バス停には春山バス始発便に乗車するスキーヤー・ボーダーでにぎわうはずですが、今日はその姿は皆無です。

 

ツアーコース入口

さて、ここからは三本滝レストハウスよりさらに上部にあるツアーコースの状況をお伝えします。ウインターシーズンにはかもしかゲレンデ最上部に当たるこの付近では、スキーにシールを貼ってツアーコースを登って行くスキーヤーやボーダーの姿が見られましたが、そんな状況が想像もできないほど雪解けが進んでいます。

 

人の背丈ほどのクマザサを掻き分けて 急斜面付近から積雪が

ツアーコース入口からしばらくは刈払いが行われ、比較的歩きやすい状況ですが、さらに進むと左の画像のように人の背丈ほどのクマザサの中を平泳ぎをするように掻き分けながら先に進んで行くと、ご覧のように積雪が見られるようになります。

 

昨年のツアーコース入口急斜面
2009 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2009/05/23〜24) D
今回のツアーコース入口急斜面
昨年より一週間ほど雪解けが遅い

昨年の画像と比較すると今年はまだ積雪が残っているほうです。おそらく一週間ほど雪解けが遅いと考えられます。

 

急斜面部分に積雪があるのでまだアクセス可能

入口急斜面の下半分は積雪がなくてもさほど問題ありませんが、急斜面を登りきる最後の部分に積雪がないとかなり苦労します。先ほどの昨年の画像のように全く積雪がない状態では、雪の下で眠っていた人の背丈以上のブッシュが一斉に起き上がり、完全な藪漕ぎとなり、ルートを誤ると身動きの取れなくなります。また、逆にブッシュのない箇所では表面が滑りやすい粘土層になっていて、どちらをアクセスするにしても容易な状態ではなく、特に上部から滑り降りてきた場合は、かなり後悔することとなります。

 

今後はブッシュに阻まれ、立ち入ることができなくなります

上部エリアの滑走が可能であっても、最後の入口急斜面のブッシュ状況を考えると、無難に春山バスで下山することをお勧めします。

入口急斜面上〜@番標識区間 − ここまで滑走可能

前述の通り、春山バスで下山されることをお勧めしますが、入口急斜面を登りきった先のツアーコースの状況はご覧のように切り株が多いものの、滑り降りてくることは可能です。

 

昨年のB番標識
2009 ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.2(2009/05/23〜24) E

先週のB番標識
ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.1(2010/05/14〜15) A

今週のB番標識
先週より1メートル減少
昨年より50センチ多い

こちらはツアーコース中間付近にあるB番標識。左上は昨年同時期のもの、右上が先週のものです。先週より1メートル減少しましたが、昨年よりも50センチ多い状態です。

 

B番標識を過ぎるとブッシュ・切り株は少なくなってきます。

 

昨年のD番標識
2009 ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.2(2009/05/23〜24) E

先週のD番標識
ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.1(2010/05/14〜15) A

今週のD番標識
先週より80センチ減少
昨年より30センチ多い

こちらはツアーコース上部付近のD番標識。B番標識と同様、左上が昨年のもの、右上が先週のものです。先週より80センチ減少し、昨年より30センチ多い状態です。

 

雨水の影響で縦溝・細かなウェーブが目立つ − 滑走しにくくツアーコースでの下山は推奨しません

ツアーコースは雨水の影響で縦溝や細かなウェーブがあり、決して滑走しやすい状況ではなく、このバーンコンディションからもツアーコースでの下山はお勧めしません。

 

E番標識手前のウェーブ

D番標識を通過して、しばらく平坦な箇所を進むと、ご覧のように少しウェーブ状のエリアに差し掛かります。先週よりも1メートル近く雪解けが進んでいます。

 

E番標識 − 根元から倒木

先週まではなんら問題が見られなかったE番標識が根元から倒れてしまいました。今後、周辺の別の木に標識が付け替えられる予定です。

位ヶ原急斜面 − 雪解けで木々がやや目立つ

E番標識の先にあるツアーコース最後の位ヶ原急斜面。 雪解けによりバーン周辺では木々がやや目立つようになって来ました。

 

昨年の位ヶ原急斜面
2009 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2009/05/23〜24) E
先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2010/05/14〜15) B

今週の位ヶ原急斜面
先週より1メートル減少
昨年並み

積雪量は先週よりも1メートルほど雪解けし、昨年とほぼ同じ積雪量です。

ツアーコースは入口急斜面手前まで滑走することができ、現段階では、入口急斜面に積雪があって、歩いて下りることが可能ですが、今後、入口急斜面の積雪がなくなり、雪の下のブッシュが起き上がってくると、身動きの取れない状態となります。そのため、今後はツアーコースでの下山は困難となりますので、必ず春山バスで下山されるようお願いいたします。

 

【昨年の今ごろは?】

2009ノリクラ雪渓カレンダーVol.2(2009/05/23〜24)

5月23日(土)は明け方に少しばかり雲が多い状態だったものの、徐々に天候は回復傾向を見せ、それまでアウターを着ていても一向に暖かさを感じなかった気候も夕方になると、青空に透明度が戻ってくる状況となります。
乗鞍スカイラインは夫婦松付近で発生した落石のため、早朝は通行止めとなり、開門が8時に延期されました。

翌日の5月24日(日)は夜半杉から降り始めた雨が続いています。ただ、この雨も小雨で降ったり止んだりを繰り返す程度。乗鞍スカイラインでは畳平付近が霙模様となって開門時間が8時30分に延期されました。そして、雪解けの進んだツアーコースはブッシュとクマザサで悪戦苦闘させられ、今シーズンのツアーコースも終わりの時期を迎えました。

 

<編集後記>

今回は天候の影響もあったとは思いますが、5月22日(土)は大雪渓エリアのいたるところで雷鳥の姿を見ることができました。もちろん、雷鳥が出現するたびに稜線目指して登っているスキーヤー・ボーダーの方々はカメラを取り出し、何度もシャッターを切る光景が繰り広げられました。

この時期は雄同士の縄張り争いの時期で、威嚇したり激しく飛び回ったりを繰り返す様子が見られます。このような姿に遭遇できるのも、全国的に減少傾向にある雷鳥が、ノリクラにおいては増加傾向を示しており、2008年の調査では過去5年間で40%の増加という結果が出ます。(信州大学教育学部 中村浩志教授 調査)
増加の要因として、マイカー規制などによる植生の回復と、ニホンジカやニホンザルが高山帯まで侵入しなかったことが関連しているとされています。

ただ、ここ最近、大雪渓付近でサルの姿や糞などを見かけ、山麓から侵入している頻度が高くなってきていることが危惧されます。ノリクラの環境は特別保護地区に指定されている高山帯だけでなく、山麓の環境も検討しなければならないのかもしれません。

 

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