ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.3(2012/05/26〜27) @
5月最後のノリクラ雪渓カレンダーをお届けします。
前回の ノリクラ雪渓カレンダーVol.2 では、両日とも穏やかな一日でした。そして、今回は取材初日はしっかりと晴れた天候とはならなかったものの、取材二日目は快晴無風の朝から始まり、まずまずの春スキー日和を送ることができました。そして、取材日の天候が良く似ている点だけでなく、その前に降雪に見舞われた点も良く似ていて、天候が不順が様子がつづいています。
5月26日(土)は、高曇りの朝を迎えます。昨日の畳平は路面がシャーベット状になるほどの降雪に見舞われましたが、乗鞍スカイラインは問題なく通常開門され、シャトルバスも始発便から運行が始まりました。そして、長野県側の乗鞍岳春山バスは、本日より大雪渓・肩の小屋口バス停(旧
肩の小屋口バス停)まで延長運行される予定でしたが、路面凍結のため、始発便は位ヶ原山荘止まりとなり、第二便からは大雪渓・肩の小屋口バス停まで運行されました。
今日の天候は終始高曇り、しかし、厚くもなく寒くもなく、山頂目指して登って行くには程よい気候。そして、昨日降った新雪は、先週のものとは大きく異なり、かなり滑りやすい状況で、稜線付近は、ほぼ全面新雪に覆われたため、プチパウダーを味わうことができました。
5月27日(日)は、快晴無風の朝を迎えます。気温が4℃と冷え込んだため、乗鞍岳春山バスは路面凍結のため、昨日と同様、始発便は位ヶ原山荘止まりとなりました。9時前に位ヶ原山荘に到着した春山バス始発便4台からは、いつものようにたくさんのスキーヤー・ボーダーの方々が、屋根板から位ヶ原、そして、山頂方面へと目指します。少しばかりひんやりとしたそよ風に吹かれる感覚が心地よく、真っ青な空に真っ白な山肌のコントラストが美しく、それに加えて、雪解けで少しずつはっきりとしてきたハイマツの緑がアクセントを加える様子は、この時期しか見られない旬の光景で、午後になると少し曇ってきたものの、今日も穏やかな一日となりました。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
【5月26日(土)、ほおのき平駐車場】
こちらは早朝6時30分のほおのき駐車場。
6時の気温は4℃。少しばかり冷え込んだ朝を迎えます。天候は晴、薄い雲がたなびいています。そして、力強い朝日が昇り始めると、徐々に寒さが和らいで行きます。
ほおの木平駐車場は、乗鞍スカイラインシャトルバスの発着所になっていて、駐車場に隣接しているバスターミナルには、6時55分に発車する始発便に乗車しようとされる方が集まり始めています。
気温マイナス3℃、晴れ | 今日はAダイヤで運行 |
今朝の畳平の天候は晴、気温はマイナス3℃。昨日の畳平周辺では降雪に見舞われ、夕方近くになると路面がシャーベット状になるほどでした。そのため、夜間凍結による乗鞍スカイラインの通行止めが懸念されました。しかし、今朝は路面も乾いて通常通り、7時に通行可能となりました。
そのため、シャトルバスも通常のAダイヤでの運行が開始されます。
始発便の定刻が近くになるにつれて、バス乗り場には列が見られるようになってきます。
バックカントリーでのボードでは、新雪や未圧雪での滑走が主体ですから圧倒的にフリースタイルのボードが大半です。こちらのお二人が持参されているのはアルペンボードといわれるもので、硬いバーンでエッジを食い込ませてカービングさせるのが得意なボード。夏スキーの時期には大雪渓も硬くなり、ゲート(ポール)を設置して練習されるグループもいらっしゃいます。
5月半ば過ぎになると大雪渓の雪質も落ち着いてきて、3月〜4月によく見られる、ひどくバックされて滑走もままならない状況は少なくなります。さらに入梅前の5月中旬から6月中旬ごろは、降雨によってできるバーン表面のうねりもまだ少ないため、稜線からの大滑降には快適な時期とも言えます。
バスの到着するまでの間、お肌のお手入れも...一年のうちでもっとも紫外線の強いといわれるこの時期ですから、日焼け止め対策は絶対に忘れてはなりません。
平湯温泉からやってきたシャトルバス始発便が到着します。
スキー・ボードを搬入 | 長袖姿ばかり − 出発時暑くても長袖は必ず持参してください |
バスのトランクにスキー・ボードを搬入。今日の始発便には35名の方がほおのき平から乗車されました。朝一番から行動を開始する登山やスキー・ボードの方がやはり多い様子が見られますが、畳平周辺での散策を目的とした観光客の方もいらっしゃいます。
平地では夏日となるこの時期ですが、どの方々も長袖姿。畳平周辺だけの散策であっても、必ず長袖のウェアーを持参されることが必須です。
ほおのき平駐車場から乗鞍スカイラインを登って畳平に向かいます。
【乗鞍スカイライン】
ここからは乗鞍スカイラインの様子をお伝えします。ほおのき平駐車場から6kmほどのところにある平湯ゲート。乗鞍スカイラインはここから始まります。道路左側に平湯ゲート詰所があり係員が許可車両のチェックなどを行っています。この先はマイカー規制となっていて、バス・タクシー・自転車と特別に許可された車両のみの通行となっています。
平湯峠(平湯ゲート)周辺には、マイカーの駐車場がありますが、シャトルバスの停留所はありません。そのため、ほおのき平駐車場か、平湯温泉にあるアカンダナ駐車場でシャトルバスに乗り換えてください。乗鞍スカイラインシャトルバス乗り換え駐車場は、2012シーズン版乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報 をご覧ください。
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昨年の平湯峠付近 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2011/05/28〜29) @ |
今週の平湯峠付近 もう残雪はない |
標高1684mの平湯峠ゲートから乗鞍スカイラインを進みます。昨年はまだ残雪がありましたが、今週のこの付近にはもう見られません。今年のノリクラは、標高が2000メートルを超える高いエリアでは、例年よりも積雪の多い状況が続いています。しかし、山麓に近い箇所では、その傾向は見られません。
こちらは平湯ゲートから3kmほど登った旧夫婦松料金所付近で標高1950メートルほどです。残雪はこの付近から見られるようになってきます。平湯峠付近の紅葉を彩るダケカンバは、ご覧のようにまだ丸裸...国道158号線から乗鞍スカイラインに入線する旧道付近では、明るい芽吹きの色合いが感じられますが、この付近ではまだまだのようです。
上空には薄い雲がたなびくものの、綺麗な青空に包まれています。
傘ヶ岳と乗鞍スカイライン | スカイラインという言葉のごとく、青空の広さを感じる |
屏風のように広がる北アルプスの山並みの中を乗鞍スカイラインが進んでいく様子が見られます。「スカイライン」という言葉を冠しているほどですから、天気のよいときの乗鞍スカイラインは、本当に空の広さを感じさせてくれるものです。
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昨年の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近) 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2011/05/28〜29) @ |
今週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近) 昨年よりもやや少ない積雪量 |
マイカー規制前にあった夫婦松料金所を1kmほど進んだ4kmポスト付近の様子。昨年と比べて積雪量の少ない様子が伺えます。標高は2050メートルほど。もう少し標高をあげて行くと、積雪量の前年比が逆転するようになってくるはずです。
少し路面が濡れている様子があります。昨日の降雨(降雪)の影響です。5月中は降雨や雪解け水による路面湿潤が、夜間の冷え込みで路面凍結して通行止めになってしまいます。
昨晩の降雨(降雪)は、夕方にはやんで夜の間に乾いてしまったため、路面凍結には至らなかったようです。
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昨年の猫の小屋跡地 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2011/05/28〜29) @ |
今週の猫の小屋跡地 この付近から昨年よりも多い状態になる |
さらに進んで、標高2200メートル、7kmポスト付近の猫の小屋跡地。先ほどの標高2050メートル、4kmポスト地点では、昨年より積雪量の少ない様子が見られましたが、こちらでは、昨年より多い様子が見られ、前年比が逆転しています。
7kmポストの少し先までは、北面が開けていて、穂高連峰から傘ヶ岳などの山並みが車窓に映ります。乗鞍スカイラインの各所にはマイカー規制前に使用されていた駐車場があり、マイカーを停めて景色を眺めることが可能でした。シャトルバスではそのような自由度はありませんが、車高の高さを生かした展望の良さは、かつてのマイカーの車窓からでは見つけられなかった良さに気づくはずです。
森林限界を超えて | シャトルバスが発車したほおのき平スキー場(右下) |
8kmポスト、標高2450メートル付近に到達すると森林限界に近づいてきます。この付近から乗鞍スカイラインは西側に展望が開けてきて、眼下には、シャトルバスが出発したほおの木平スキー場のゲレンデコースが見られ、高山市街地も確認できます。
さらにその遠方には、白い雪を冠する白山があります。
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昨年の烏帽子岳 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2011/05/28〜29) @ |
今週の烏帽子岳 昨年よりやや少なく、2010年よりやや多い積雪量 |
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昨年の四ッ岳カーブ 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2011/05/28〜29) @ |
今週の四ッ岳カーブ 昨年とほぼ同じで、2010年よりもやや多い積雪量 |
上段は森林限界を超えて最初に見られる山は23ある乗鞍の峰の一つである烏帽子岳(えぼしだけ 標高2550m)。積雪量は昨年よりやや少なく、2010年よりやや多い状態。
下段はその先にある乗鞍スカイラインの中でもっとも積雪量の多い箇所を通過する四ッ岳カーブ。積雪量は昨年とほぼ同じで、2010年よりもやや多い状態です。
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二週間前の四ッ岳カーブ ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2012/05/12〜15) G |
今週の四ッ岳カーブ 積雪量に変化がほとんどない |
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二週間前の四ッ岳カーブ ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2012/05/12〜15) G |
今週の四ッ岳カーブ 積雪量に変化がほとんどない |
ご覧の画像は四ッ岳カーブを二週間前と比較したもの。この二週間の間に周期的に降雪に見舞われ、特に5月17日(木)にはまとった降雪があり、吹き溜まり箇所では20センチにも及ぶ状況で、乗鞍スカイラインは5月18日(金)から20日(日)まで三日間も通行止めになるほどでした。
そのため、二週間も経過しているものの、ほとんど、積雪量に変化がない様子が見られます。
四ッ岳カーブを進んで、標高2600メートル付近の土俵ヶ原周辺では、昨日の降雪が凍り付いています。5月といえども標高の高いところでは、まだまだ冬が続いています。
この付近から再び、穂高連峰の山並みが広がります。
そして、広大な桔梗ヶ原の台地は、これまで急峻な道のりとは打って変わって、まるで丘陵地帯を行くような雰囲気です。
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昨年の鶴ヶ池雪渓 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2011/05/28〜29) @ |
今週の鶴ヶ池雪渓 例年並みの積雪量 |
畳平に到着する手前に鶴ヶ池雪渓が広まります。岐阜県側で唯一滑走が認められているエリアです。畳平から歩いてすぐの場所にあることから、初めてお越しになったスキーヤー・ボーダーの方にも安心してお勧めできる場所です。例年6月下旬まで滑走可能です。鶴ヶ池雪渓の詳細については、ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 鶴ヶ池雪渓版 をご覧ください。
昨年は積雪量の少ないシーズンだったため、昨年よりもかなり多い様子が見られます。また、2010年よりも多く、2009年並みで、2008年よりも少ない状況で、ほぼ、例年並みといったところです。
平湯峠から14.4km、国内の自動車道でもっとも高いところに位置する標高2702メートルの畳平に到着です。(→ Next)
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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